苫小牧発 仙台行きフェリー
8月3日付の日経「春秋」がこんな書き出して始まっていて目をとめました。
「春秋」というのは、朝日の「天声人語」みたいな、一面にあるコラムです。
吉田拓郎の「落陽」の一節
詩を書いたのは岡本おさみさんという人で、『旅に唄あり』というエッセイがあるらしい。
『襟裳岬』の後、2年半ほど、旅暮らしをしていたという岡本さんが、沖縄から北海道、行く先々での出会いや「うた」を書く日々がつづられます。
『襟裳岬』が日本歌謡大賞にノミネートされたとき、「当日、武道館においで下さい」という手紙を受け取り、まだ賞が確定したわけでもないのに客席に居て待てというのが気に食わないと、いろいろ理由をつけて逃げ回る。
高倉健さんの歌を頼まれて、『八甲田山』のロケに同行したりもします。
渋谷で人を待つ間、何もすることがないから「うた」でも書こうと書いてしまう。
『旅の宿』は、岡本さんが奥さんと蔦温泉に行ったときのことを書いたものだったんですね。
色っぽいね
放送禁止のうた、レコード倫理委員会が指定した要注意歌謡曲といった、闇に葬られたうたばかりを披露するコンサートを企画しているという話が出てきます。
佐渡山豊『ROUTE24』
中山ラビ『たいへんだあ!』
花柳玄舟『残曽根崎心中』
知らない歌ばっかりです。
桃井かおりの『六本木心中』というのも放送禁止です。
アン・ルイスのとはまったく別物
松本隆との対談もあります。
愛というのは「ゆるしあうことしかないんじゃないか、ゆるしあえるには共通した風景の中にいることが一番」という松本さんに対して、岡本さんは「愛ってのは確認しあい始めると、壊れ始めてる」だから、嫌になったら少し離れてみるなんて言ってて、どちらもなるほどなあと思いました。
昭和52年9月25日発行
八曜社
著者の生誕80年を記念して、今年、郷里の島根県に本社を置く山陽中央新報社から、復刻新版が出ています。
お読みいただきありがとうございます。