「エンゼルプラン」「子育て安心プラン」
保育や育児にはまったく関心がないんですが、聞いたことのある言葉です。
国が「待機児童ゼロ」などの保育政策を進めれば進めるほど、保護者から親として育つ機会を奪い、保育がビジネス化されていくという主張がくり返されます。
愛着障害
乳幼少期に何らかの原因により、母親や父親など特定の養育者との愛着形成がうまくいかず問題を抱えている状態のこと
国の施策により、ゼロ歳児保育が当たり前になれば、保育の現場は疲弊し、質が落ちるという事例が挙げられます。
ある実習生は実習に行ったすべての保育所で、保育士による虐待を目にしたと証言しています。
そのために、保育士になるのをやめた人もいるそうです。
心優しく保育に向いた人ほど、その現状に耐えられなくなるというのです。
男性保育士による女児への不適切なおむつ替え行為などもあるようです。
人手不足の現場では、保育士が辞めてしまうことを恐れて、よっぽどのことがなければ表沙汰にできない状況があるといいます。
令和元年(2019年)6月、動物愛護法が一部改正され、生後八週に満たない犬猫の販売が原則禁止となる。それまでに母犬から子犬を離すと、噛み付き癖、吠え癖がつくからという理由だった。生後八週は人間なら二歳くらい。一方、人間の乳幼児に対しては、積極的に母子分離をする流れとなっている。なぜ守られるのは犬だけなのか。人間の子を守る法律を先ず先に作るべきだろう。
筆者が行っている未来に向けた取組も紹介されます。
「一日保育体験」と称して、保護者に丸一日保育園に来てもらう活動があります。
父親と母親、できれば別々で、1年に1回、朝から晩まで保育に参加してもらうものです。
保育体験で、子どもが嫌いだったという親が変わり、父親の家庭内暴力がとまることもあるそうです。
いちばん来そうにない人が、いちばん変わる
子どもにも変化が生じるそうです。
ほかの子のお父さんお母さんに、一人ずつ会って、遊んでもらい、子どもたちは、「みんなにお父さん、お母さんがいる」ことに気づく。その瞬間、小学校や中学校でのいじめが減る。家族のほかにも頼れる人、親身になってくれる人がいることを小さいうちに感じる、これもまた生きる力なのだ。だれかを頼ろうとしなければ、信頼関係は生まれない。信じようとしなければ、絆は育たない。
筆者は1954年東京生まれ
音楽家・作家・元埼玉県教育委員長
慶応義塾大学哲学科からカリフォルニア大学(UCLA)民族芸術科に編入。
ジョージ・ルーカス制作の『ウィロー』、スピルバーグ監督の『太陽の帝国』など50本以上のアメリカ映画に参加する尺八奏者でもあります。
アメリカに渡った1970年代後半、既に従来の家族制度が崩壊しているのをつぶさに見て、日本において欧米の後追いをすることに非常な危機感を抱かれています。
紹介されている『逝きし世の面影』(渡辺京二)によると、江戸の終わり、日本ほど男たちが幼児と一体で楽しそうな国はない、と当時日本に来た欧米人が驚きをもって様々な書物に書き残しているそうです。
インドや中国を見た欧米人が、この国へ来て、その風景をパラダイスと書き残す。「幼子が来るのを止めてはいけません。天国はこのような人たちのためにある」と聖書に書かれた風景を見たのではないか。時空を超えて、不思議なメッセージが伝わってくる。
あとがきによれば、少子化による保育園の「定員割れ」はすでに地方で起こっていて、都市部へもその波は迫っているそうです。園児の取り合いから、親を「客」と考える保育のサービス産業化に拍車がかかることが怖いといいます。
子育てとは人を育てること
そこがおろそかになれば、この国が誇る人の親切さや治安のよさが危うくなることは想像できます。
子育ては社会全体の問題として考えるべきと、改めて感じました。
お読みいただきありがとうございます。