人間は考える葦である

クレオパトラの鼻がもっと低かったなら

 

『パンセ』といえば有名な言葉です。

 

大学生のころ、はじめて『パンセ』を読んだ鹿島さんは、「何だか当たり前のことのように感じられ」たといいます。

 

しかし、時を経て、『パンセ』を原文で読み返したとき、じつによく理解でき、パスカルはあらゆる思想家、哲学者の中で一番すごいことを言っているのではないかとさえ考えるようになったというのです。

 

 

『パンセ』を書いたパスカルは1623年生まれのフランスの哲学者で、数学者でもあり、物理学者でもあります。

 

 

パスカルの定理は彼が16歳のときに発見した円錐曲線に関する定理で、円に内接する六角形の対辺の延長線の交点は一直線上にあるというものです。

 

天才だな。

 

 

『パンセ』は39歳で亡くなったパスカルが残した断章をまとめたものです。

 

 

本書は鹿島さんがテーマごとに断章を引用したアンソロジーです。

 

 

第4章 とにかく自分のことが好き!

第6章 人は変わる?変わらない?

第7章 人間は習慣によってつくられる

第10章 現在に安住できないのはなぜ?

第11章 「正義」って何だろう?

第12章 人間は惨めで偉大な存在である

 

 

人間は幸福になれるか

 

 

「否」とパスカルは言います。

 

 

なぜなら、幸福になりたいと願う状態にたどりついたとしても、その「いまいる状態」は、幸福を生み出すのではなく、その状態から見てより幸福に思える別の状態を想像してしまうというのです。

 

 

人生におけるほとんどの人間の営為は気晴らしに過ぎない

人は気晴らしがなければ、虚無や死の恐怖などと対峙せざるを得ない

 

けれども、倦怠に耐え、そこから真の意味で抜け出す契機を見つけなければならない

 

 

パスカルさんが早死にだったことを考えると、あんまり考えすぎるのも体によくないような気がします。

 

 

パスカルは生前、キリスト教の擁護論を書きたいと言っていて、断章の中でも神の存在を証明しようとしています。

 

 

神が存在するということは理解不可能であるが、神が存在しないということも理解不可能である。(断章230)

 

 

本書がおもしろかったので、『パンセ』そのものも読みたくなりました。

岩波文庫で上中下ありました。

ちょっとハードですね。

 

 

お読みいただきありがとうございました。