北海道の小さな書店、いわた書店さんオススメの本です。

 

筆者の桜井昌司さんは1947年栃木県生まれ。

1967年茨城県北相馬郡利根町布川で起きた強盗殺人事件の容疑者として逮捕され、78年に無期懲役が確定します。

29年間を獄中で過ごし、96年仮釈放。

 

2001年再審請求をし、2009年最高裁によって再審開始が確定。

2011年に無罪判決が出て、事件後43年7か月を経てやっと無実が認められました。

 

20歳 事件発覚

23歳 人殺しの犯人だと裁判官が言った

30歳 母が逝った それでも春風が吹いた

45歳 父が逝った オヤジのバカヤローとつぶやき続けた

 

別件で逮捕され、アリバイがあったにもかかわらず殺人犯にされてしまいます。

 

証拠として提出された録音テープには13か所も改ざんのあとが見られ、現場に残された毛髪も桜井さんのものとは一致しませんでした。

 

目撃証言も捏造、事件は仕立て上げられていました。

 

私や冤罪体験者は間違うことを責めるのではない。間違えたのに、それを認めようとしないことに対して怒りを覚えているのである。

警察も検察も国民が安心して暮らすために必要だし、人権と生活を守るために必要だからこそ存在する。無実の人間を犯人にして、その反省さえもないことを多くの国民が知ったならば、警察と検察は果たしてそのまま存在し得るだろうか。

 

20歳から49歳までの獄中で、桜井さんは本を読み、詩作と作曲も始めました。

64歳まで、43年に及んだ冤罪との闘いの日々を無駄ではなかったと言います。

 

そんなことあるかい!と思いましたが、読むと納得します。

 

人生に失敗は付き物だ。冤罪で29年の獄中生活ほど、重い失敗はない。致命的ともいえるが、その失敗ですらも失敗には終わらなかった。そう思っている。

何事も諦めたときだけが絶望なのかもしれない。

 

 

 

 

2021年4月15日第1刷発行

マガジンハウス

定価:1400円(税別)

 

お読みいただきありがとうございました。