北海道砂川市にあるいわた書店は「一万円選書」で有名になったお店です。
店主の岩田さんが1990年38歳で親から店を引き継いだ途端、バブル崩壊がします。
高校の先輩たちと飲んでいたとき、「本が売れない」とこぼした岩田さんに、「これで、俺に合うおもしろそうな本を見繕ってほしい」と1万円を差し出してくれた先輩がいました。
「一万円選書」のはじまりです。
最初は反応がなく、ダメかと思っていたところ、深夜番組で取り上げられたことをきっかけにブレイクします。
今では、年に7日だけの募集に3000人から7000人の応募者があるそうです。
その中から毎月100名をランダムに抽選して、選書のためのカルテを記入してもらいます。カルテに基づいて選んだ、その人にぴったりであろう本を1万円分送るのです。
これは、私も好きな本です。
詩集もよく入れるそうで、紹介されているのは長田弘さんの深呼吸の必要 (ハルキ文庫)
「大事なのは、自分が何者なのかではなく、何者でないかだ。急がないこと。手をつかって仕事をすること。そして、日々のたのしみを、一本の自分の木と共にすること」
萩原慎一郎さんの歌集 滑走路 (角川文庫)
・牛丼屋頑張っているきみがいてきみの頑張りは自給以上だ
・きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい
コロナ禍の暮らしで、気づかないうちに誰もが精神的ダメージを受けているかもしれない今、熱心にすすめている本として心の傷を癒すということ (角川ソフィア文庫)
まだまだありまして、読んだことのないおもしろそうな本がたくさん紹介されています。
開始から7年、一万円選書が軌道に乗り、自分が気に入った本だけを仕入れるようになったという岩田さん。
書店業界の返本率が4割と言われる中、仕入れた本の98%を売るそうです。
モヤモヤするとき、つらいとき、悲しいとき、先が見えなくなったとき、何もかも投げ出したくなったとき、いつだって本を頼ってください。
本の中にはすべてがある。本はいつだってあなたの人生の味方だから。
2021年12月6日
ポプラ社
定価:本体900円
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