52歳のフリーライターが、ある日、ABBAの『ダンシング・クイーン』を弾きたくなります。
ピアノは一度も弾いたことがない。
大人の習い事の主役は俺。
レッスンは俺が楽しくなくてはならないと、
電話をかけまくって出会ったレイコ先生は、きっぱり言います。
「練習すれば、弾けない曲などありません」
筆者の鈴木智彦さんは、1966年、北海道生まれ。
雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『週刊実話』編集部に入社します。
『実話時代BULL』の編集長をつとめたのち、フリーに。
著書は『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発 福島第一潜入記』など、ヤクザ関係の本ばかりです。
ピアノのレッスンに通いはじめ、SNSに書き込むと、編集者からピアノ学習の体験記を書かないかとの打診があり、それが本書になりました。
締め切りは1年後、年末の発表会をエンディングにしてほしいという申し入れです。
発表会という締め切りまでに『ダンシング・クイーン』が絶対に弾けなくてはならない。
飲み込みが早い人はいる。
同じ練習をしても、上達の度合いは違う。
才能の違いはどうにもできない。
でもね。
練習しないと弾けないの。
弾ける人は練習をしたの。
難しい話じゃない。
仕事が家族が体調が……誰の人生にも色々ある。
でも弾けない原因は一つしかない。
単純に練習が足りない。
鈴木さんより上手な人は、鈴木さんより多く弾いている。
ヤクザの抗争が続き、レッスンに通えない日もある中、レイコ先生の指導のもと、猛練習をしますが・・・
発表会当日の動画は巻末の読者特典のQRコードから見られます。
遅くにはじめたからといって、俺たちはなんの損もしていないのだ。
一度自分の半生を振り返ってみて欲しい。
本当の意味で学ぶことができるようになったのは、社会に出てからではなかったか。
YOU CAN DANCE.
もしもピアノが弾けたなら、と愚痴るのはもうおしまいにしよう。
今、私の頭の中では『ダンシング・クイーン』が鳴り響いてます。
お読みいただきありがとうございました。