月刊「読売旅行」2018年9月号~2020年4月号に連載された「あの歌この街」を1冊にまとめたものです。

 

本書は第2巻になります。

 

『雪椿』新潟・加茂市

『小樽の人よ』北海道・小樽市

『王将』大阪・大阪市など、

歌の舞台になった街を筆者が実際にたずね、歌の背景を紹介する内容です。

ちょっと古い歌が多いですね。

 

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知らなかったのは『岸壁の母』の舞台が京都府舞鶴市だったということ。

 

二葉百合子が有名ですが、オリジナルは昭和29年、当時の人気歌手菊池章子の歌で100万枚のヒットを記録しているそうです。

 

 

 

舞鶴港は引揚げ事業の全期間に66万4,531人の引揚げ者と1万269柱の遺骨を迎えたとのこと。

戦後、日本人約660万人が海外に取り残されていたといいます。

シベリアの強制収容所に連行された元日本兵は約60万人、そのうち約6万人が彼の地で亡くなっているそうです。

この桟橋に帰ってくるだけでも幸運だったと筆者は言います。

 

 

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梅沢富美男『夢芝居』(昭和57〈1982〉年。作詞・作曲小椋佳)の舞台は東京都北区。

TBSの「ザ・ベストテン」が、北区十条の篠原演芸場から梅沢劇団公演を生中継し、人気に火がついたそうです。累計売上は50万枚。

梅沢富美男さん、今ではワイドショーのコメンテーターやプレバトの名人としてのほうが知られているかもしれません。

 

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小柳ルミ子『瀬戸の花嫁』(昭和47〈1972〉年)は、当時、「私、結婚なんかしない」という20歳のルミ子を歌の中でお嫁に行かせてやろうと作られたといいます。

そうしたら本当に瀬戸内海には船でお嫁に行く人がいたのです。

本書には、知らずに作ったみたいに書かれていますが、そんなことってある?

 

 

 

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小林旭『昔の名前で出ています』

 

京都にいるときゃ 忍と呼ばれたの~♪

神戸じゃ渚と 名乗ったの~♪

ハマの酒場に 戻ったその日から~♪

 

この「ハマ」が横浜のことだとは知りませんでした。

「横浜」と書いて「ハマ」とルビがふってあるんですね。
 

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もう一つ知らなかったのが、八代亜紀『舟歌』

この歌の舞台は神奈川県三浦半島三崎港。

マグロで有名な漁港ですね。

 

 

『舟唄』の最後の「ダンチョネ」

これが、三崎港の民謡なんだそうです。

 

ダンチョネ節がどうして三崎港で歌われるようになったかは諸説あって、どれもちょっと切ないお話です。

 

 

泣きたい気持ちで元気に歌う歌もある。たかが歌かもしれないが、されど歌なしに生きることはできないと、思い知らされるのはそんな歌声を聞いたときだ。
私が好きな歌は耐える気持ちを静かに歌う歌らしい。だが、はしゃいで歌う歌も好きだ。どっちが好きか、よくわからない。

 

 

2021年3月18日第1刷

読売旅行出版社

定価:1430円(本体1300円+税)

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。