はじめに画家の中には解剖学に通じた者も大勢いて、彼らは人体の骨格や筋肉を絵画の中で正確に描写しています。解剖学的知識を利用して、特別な意味を込めた作品をつくっているケースもよく見受けられます。解剖学を知らなければ見過ごしてしまうような点を知ることができれば、その作品に対してさらなる理解や解釈が可能になってくるでしょう。

 

 

解剖学英単語集『骨単 語源から覚える解剖学英単語集』や『肉単』などの著書もある筆者が、名画に描かれた人物や動物を解剖学的に解説してくれます。

 

とりあげられる名画は

ミケランジェロ『デルフォイの巫女』

ゴッホ『タバコをくわえた頭蓋骨』

ミケランジェロ『アダムの創造』

ジェローム『バテシバ』など

 

『ライオンを抱えたギルガメシュ』のレリーフの筋肉の盛り上がりとか、フェルメール『牛乳を注ぐ女』の腕の筋肉に注目するなど、解剖学的視点で絵画を見ると興味深いです。(当たり前なのか?)

 

『縛られたプロメテウス』はティタン族の神プロメテウスを描いたもの。

ギリシャ神話ではプロメテウスは土から人を創造した神で、後にゼウスの怒りをかい、コーカサス山脈の岸壁に縛り付けられ、ワシに肝臓を食べられるという責め苦にあいます。

 

この絵を描いた画家は多いそうですが、肝臓の位置は画家によってさまざま。

ルーベンスの絵は解剖学的にとても正確なんだそうです。

 

古代の神話、聖書も詳しく解説され、とても興味深いです。

 

 

実はこの作者さん、タモリのお散歩番組に出演したのを観たことがありました。

古地図や戦前の絵葉書の蒐集家で、それらから今の街を眺める散歩シリーズなんかも出しています。

 

彩色絵はがき・古地図から眺める東京今昔散歩 (中経の文庫)

彩色絵はがき・古地図から眺める横浜今昔散歩 (中経の文庫)

彩色絵はがき・古地図から眺める東京スカイツリー今昔散歩 (中経の文庫)

 

 

歴史・サイエンスライター、イラストレーターでもあり

はじめにあげたように

骨単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (骨編))

肉単―語源から覚える解剖学英単語集筋肉編

などの著書もあって、多才です。

 

上に紹介した5冊は目を通したことがあるのですが、どれもおもしろかったです。

 
 
 
 

 

2018年12月31日初版発行

CCCメディアハウス

定価1700円+税

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。