12月の読書メーターまとめです。
読んだ本の数:31
読んだページ数:7724
12月も充実した読書時間を持つことができました。
みなさま、本当にいつもありがとうございます。
長くなりますので、お時間のあるときにおつき合いいただければと思います。
立花式読書論、読書術、書斎術 ぼくはこんな本を読んできた (文春文庫)
妹尾河童さんによる「『ネコビル』顛末記」が楽しい。「週刊文春」の「私の読書日記」収録のまえがきとして書かれている「私の書評論」も興味深い。立花さんの「私の読書日記」は新刊の紹介を中心に1冊1.5枚。長すぎる書評も、私的な読書日記もお好みでないらしい。定点観測地点は「東京堂書店」。紹介の本は全部おもしろそうです。
読了日:12月31日 著者:立花 隆
ぼくはお金を使わずに生きることにした
読了日:12月30日 著者:マーク ボイル
エーゲ 永遠回帰の海 (ちくま文庫)
「すべての刹那に存在ははじまる。万物は永遠に回帰し、われわれ自身もそれとともに回帰する」『ツァラトゥストラかく語りき』でニーチェが到達した永遠回帰の思想。頭で考えている限り、わかったようなわからないような思想も、人気(ひとけ)のない海岸の遺跡で、黙ってしばらく海を眺めていると、これが永遠なのだということが疑問の余地なく見えてくるという。ギリシャ・トルコの旅をとおして語られる、ギリシャの神々とキリスト教のつながり、ミレトスにたってはじめて見えてくるターレスの思想も興味深かった。豊富な写真に理解を助けられる。
読了日:12月28日 著者:立花 隆
ジャガー自伝 みんな元気かぁ~~い?
20代でクリーニング取次業をはじめ、洋服直しの会社を興す。看板屋、美容室、喫茶店などを経営しながら、80年代にはロッカーとして地方の放送局の枠を買い取り、自主制作したプロモーション番組を放映していたらしい。自社ビルも自ら建てたというぐらい、何でも自分でやってしまう。見た目のド派手さと話し方のギャップもおもしろい。普段着でもみんなにじろじろ見られるという。彼の人生と戦後の日本の歩みも重なる。濃ゆい1冊。おもしろくて一気読み。
読了日:12月24日 著者:ジャガー
買わない暮らし。 片づけ、節約、ムダづかい……シンプルに解決する方法 (大和出版)
「買わない暮らしをすると、気分よくお金を使うことができ、貯金が増え、部屋が片付き、不安や不満が減り、日々の暮らしが楽しくなる」「買わない暮らし」を実践するための、買いすぎてしまう行動や思考を変える方法を伝授。買うことが本当に自分にとって大切なことなら、それは続ければいい。捨てることによって、これまでの買い物習慣を見直す。捨てることには痛みが伴うが、節約につながり大きな余裕を生む。
読了日:12月24日 著者:筆子
早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚! 」読書法
筆者はトヨタ式「紙1枚!」をシリーズで出しているようですが、本書が初読です。A4の紙を縦4列、横8列に分割し、「日付」「テーマ」「問い」などを書いていきます。1枚にまとめることで記憶に残り人にも説明できるようになるというのは理解できます。枠という制約があるからこそ、考え抜いてまとめられるということは、俳句にも通じると思いました。各章にまとめを兼ねたブックガイド。以前、読んでもやもやしていた『ネガティブケイパビリティ』がスッキリ1枚にまとめられているのはすばらしい。参考になりました。
読了日:12月22日 著者:浅田すぐる
独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法の感想
資料の探し方、整理の仕方など、独学に必要なノウハウが詳しく書かれています。これをそのままやることはないと思いますが、「なぜ学ぶのか」「何を学ぶのか」を明確にすることが、学び続ける動機づけになることがわかります。古典は現代人を読者として想定していないのでいきなり読んでも読めない、会えない者を師と仰ぐ「私淑」などが印象に残りました。机上で繰り返し参照されることを想定しているようですが、各章は対話ではじまっており、通読しても楽しめます。
読了日:12月22日 著者:読書猿
ビジネス書の著者になっていきなり年収を3倍にする方法――あなたの人生を変える!投資としての出版
本は名刺代わりにも、パンフレットにもなる。宣伝効果を考えると最高の投資と言える。ビジネス書なら、文才も要らないし、有名でなくても著者になれる。こんまりも出版前は無名だった。業界では常識でも外の人は知らないことが多い。例えば、銀行員ならだれでも知っているノウハウも、融資を受ける側の人は意外に知らない。ディズニーのアルバイトや防衛大、楽天市場でのわずかな経験も本になるし、実際に売れている。そのための近道は、90万円を出して筆者の出版セミナーに通うことというオチのようだ。
読了日:12月20日 著者:松尾 昭仁
死ぬほど読めて忘れない高速読書
本を読む時間はトータルで30分。1回目:15分全ページ読む。重要ページにドッグイヤー。2回目:10分。ドッグイヤーのページを読む。重要ページに青ペンで直接メモ。3回目:青ペンの入ったページを読む。(3回とも違う場所で読む)肝心なのはアウトプットノート。まず、読書の目的を言語化する。エッセンスを書き出す。具体的にどんな行動アクションにつなげられるか書く。ビジネス書、実用書なら、有効な方法かもしれない。
読了日:12月20日 著者:上岡 正明
世界の路地
ギリシャの路地、イタリアの路地、スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツ、北欧。それぞれのお国柄が反映されていてみんなすばらしい。ペルーの赤い路地、モロッコの青い路地など、行ってみたい路地がたくさん。インド、台湾、中国の路地も味わいがあります。★★★★★
読了日:12月19日 著者:PIE BOOKS
失われゆく仕事の図鑑
踏切番やバスガール、パートタイムの仲居さんのような「雇仲居(やとな)」映画や小説の世界でしかもう見られないような仕事を92掲載。あとがきによると、選んだ基準は『米朝落語全集』の索引。晩年「こういう言葉も通じんようになりましたなあ」とよく口にされていたという。その語や演題が、見失われた仕事を発掘する導きになったという。新聞社の伝書鳩、成人映画館、押し売りも仕事だったのか!「『コミュニケーション能力』などなくたって、技さえあれば生きていける。そういう仕事や場があったのだ(まえがき)」
読了日:12月18日 著者:永井 良和,高野 光平
平安女子は、みんな必死で恋してた イタリア人がハマった日本の古典
イタリア人による「日本の古典」を題材にしたエッセイ。教科書で数行読んだだけの古典が力強く蘇る。清少納言の面影を森茉莉に見る文章がとてもおもしろかった。
読了日:12月17日 著者:イザベラ ディオニシオ
カラー版 世界書店紀行―本は友を呼び未来を拓く
ヨーロッパ、アメリカ、アジアの書店を紹介。1294年建築のオランダのドミニコ会の教会が書店になった「ドミニカネン書店」は「天国の書店」と称賛される。母体の書店が次々と経営危機に陥り閉店の危機にあったが、クラウドファンディングにより営業を再開したそうだ。北京の「三聯韜奮書店」は24時間営業。本店は24時間営業で売上が68%増えたという。日本からは「クレヨンハウス」と神保町の「北沢書店」が紹介されている。
読了日:12月16日 著者:金 彦鎬
女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法: 知的すぎる無期懲役囚から教わった99.99%の人がやらない成功法則 (小学館文庫プレジデントセレクト)
再読。「成功の秘訣は、決して派手なことではなく、地味なこと。いくら頭がよくても、すぐに投げ出す人、ムラのある人、何かをやり遂げたという成功体験のない人は、自分の能力を有効に使うことができません。結果として、自分で考えていたよりもつまらない人生で終わってしまうことが多いと思ってください。無期懲役囚のみたっちゃんが、持てる知識を駆使して高校生と中学生の姉弟に教える成功の秘訣」大人にも役に立ちます。
読了日:12月15日 著者:美達 大和,山村 サヤカ,山村 ヒロキ
老年と人生
老いることは醜い。三十になったら死のう、四十になったら死のうと思っているうち、とうとう五十になってしまったと嘆く朔太郎。ところが年をとってくると性欲がなくなり、多少の金もあり、余裕ができて人生をかえって楽しむことができるということも発見したらしい。しかし、今の時代、五十を過ぎても、あと50年あるらしいですよ。
読了日:12月15日 著者:萩原 朔太郎
9日間プラスのことだけ考えると、人生が変わる―自分の小さな「現実」から飛び出しなさい!
「できない」「足りない」と言わない。まず「相手に譲ることを考える」、人の「長所」を探してみる。「自分はどんなものを食べても、健康で幸せな細胞に変えてしまうことができる」と信じることによって健康になるというのはわかる。気持ちは大事。世の中でどんなことが起きようと「自分のなかに平和を保つことができる」というのもわかるのだが、それによって深刻な問題が解決するとは思えない。背景にはキリスト教。
読了日:12月12日 著者:ウエイン・W. ダイアー
戦場の漂流者 千二百分の一の二等兵
戦場では危険な作業に携わる下っ端から死んでいく。同期1200人の中から奇跡的に助かり続けた半田正夫さんから聞き取った記録。二等兵に戦況などわかるはずもなく、上官に命じられるままルソン島を南の端から北を目指して歩く歩く。その間にも仲間は死んでいく。戦後、1年半の収容所生活を送り、帰還の船で出たたくあんに歓喜する。帰ってきた日本の感想は「えらい国に帰ってきた」。
読了日:12月10日 著者:稲垣尚友〔著〕半田正夫〔語り〕
樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ (上製本)
『婦人公論』や『AERA』などの雑誌や新聞に載せられたインタビュー記事、テレビ番組からの名言集。おっと思う言葉がたくさんあった。希林さんならではの言葉だ。養老孟司さんのまえがきもいい。「男でいえば、将の器がある。体は小さいし、声だってとくに大きいわけではない。印象的な女性でしたね」
読了日:12月10日 著者:樹木 希林
土曜夫人
読み出したら止まりません。ダンサーの陽子、冒頭から死んでしまう茉莉、家出少女のチマ子、靴磨きのカラ子など、登場人物は多い。さらにカメラマンの木崎、侯爵の春隆、京吉、章三といった男性たちが入り乱れ、物語が速いテンポで進んでいく。さて、これが本当の主人公かもといって登場する女性は「あたしに会いたければ、銀座のアルセーヌにいらっしゃい」という言葉を残して消える。物語は作家の死によって未完なので、その後は想像するしかない。
読了日:12月09日 著者:織田 作之助
SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか
SNSに心ない書き込みをされて自らの命を絶つほど苦しむ人がいる。書き込む人は属性もさまざまで街中でもわからない「普通の人」だという。背景には、他人の気持ちを推し量れない想像力の欠如と自らの生活への不満、不安があるようだ。被害者は中傷や批判を繰り返し浴びるうち、相手の言っていることに理があるのではないかという思考回路になってしまうという。誰もが被害者にも加害者にもなり得る。社会全体のリテラシーを高めていくことが鍵だそうだ。
読了日:12月09日 著者:毎日新聞取材班
人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)
子どものころから頭がよく、運動もでき、面倒見もよい。本当にできた人だったのだと思う。キャデラックでお迎えが来るような幼少期から、母親が家を出て以来、家業が傾き、父からも育児放棄され、苦労した成育歴が過酷。自らの理屈で正当性があると信じて犯した2件の殺人だが、やがて自分の傲慢さに気づき、贖罪のため、一生刑務所から出ないことを選択しているという。刑務所の中で出会った「罪を自覚できな」かったり「反省しない」殺人犯の話も興味深い。筆者が犯罪に至ってしまったことが残念。
読了日:12月09日 著者:美達 大和
教養として知っておきたい 聖書の名場面: 絵画・彫刻・小説・映画・・・なぜ、名作のモチーフになった? (KAWADE夢文庫 1170)
『バビル二世』『エヴァンゲリオン』はわかりやすいが、『ウルトラマンティガ』に『天地創造』、『デビルマン』にノアの箱舟の物語の影があるという指摘はおもしろかった。聖書の名場面とともに後世への影響を分かりやすく解説。これ1冊で聖書の内容が大体わかると思う。戦国時代、お市の方も浅井や柴田に嫁ぐなど、ほかの人の妻だった人を平気でめとるのを不思議に思っていたが、日本で処女性が重要視されるようになったのは、キリスト教の処女懐妊の思想が入ってきてからだったそうだ。なるほどと思った。
読了日:12月08日 著者:
雪に生きる (1980年) (岩波少年文庫)
明治23年、赤城山に生まれた筆者が、二十代半ばでスキーに出会った大正の初めから、昭和18年までのスキーに明け暮れれた記録です。まだ、スキーの板も手に入らないときから、手探りで工夫を重ね、板を手作りして、失敗を重ねながら滑るようになった話。家族3人、子連れで雪を求めて放浪した記録。自分でも熱中して、常識から外れてしまう癖があるという筆者ですが、家族は大変だったと思います。奥さんは日本初の女性ジャンパーといわれる猪谷定子さん。息子はオリンピックメダリストの猪谷千春氏。1943年のものを1980年に改訂出版。
読了日:12月07日 著者:
離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本
相手から見て「弱い」「有害」と思われているから攻撃される。対処法は「いい人」をやめて「自分はどうしたいのか」を常に考える。相手に無関心になる。「本当の自分」は相手に見せない。無視ではなく「寡黙な人」として関わる。本音を見せないことによって、何を考えているのかわからない不気味な人を演出し、相手が攻撃しにくくなるというのはわかる。問題は、これまで攻撃されてきた人がこれを実践できるかどうかだが、有効な手段だと思う。
読了日:12月06日 著者:Joe
前に進むための読書論 東大首席弁護士の本棚 (光文社新書)
1章は読書論。2章「日本の小説」3章「海外の小説」4章以降、ノンフィクション、エッセイ、児童文学、ファンタジーと、読んだ本の紹介。勉強のための本は7回読みを勧めるそうだが、趣味の読書は一期一会。読み返しもなし。「本によって自分の中身を変えるという発想は、私にとっては、なんとなく嘘くさく思えます。ですが、偶然にも目に飛び込んできた本の一節から自分の潜在的な覚悟を知るというのは、そんな私でも、試して納得していることです」
読了日:12月05日 著者:山口 真由
人生を変える読書 無期懲役囚の心を揺さぶった42冊 (廣済堂新書)
読了日:12月04日 著者:美達 大和
つながり過ぎた世界の先に(世界の知性シリーズ) (PHP新書)
人間の倫理と福利にとって、統計的世界観は最大の脅威、その最悪バージョンがウイルス学者の見解が政治的決断に大きく影響していることだという意見には納得。次のGAFAは倫理的資本主義を導入した企業。出版業を例にとり、統計ではなく良い本を作れば売れる、出版社はただ本を読ませるためだけに読者を雇用すべきというのは、本読みにはすてきなアイディアではないですか。どこかの会社が採用しないかな。
読了日:12月03日 著者:マルクス・ガブリエル
マンガでわかる ピーター・リンチの投資術 (SIB)
読了日:12月02日 著者:ループスプロダクション
試験に出る哲学 「センター試験」で西洋思想に入門する (NHK出版新書)
センター試験「倫理」で出題された問題を解きながら、西洋哲学の大きな流れを理解することができます。受験生向きの本ではなく、哲学に触れたことのない大学生や社会人がターゲットです。哲学の大きな流れが本当によくわかりました。解説を読んでも設問に正答できなかったのは悔しいです。倫理はできたような気がしてたので、全くの勘違いだったことがわかりました。
読了日:12月01日 著者:斎藤 哲也
子供より古書が大事と思いたい 増補新版
フランスの古書店でどうやったらいい本を買えるかということを筆者の豊富な経験から縷々書き綴っている本です。私には全く役に立たない知識なんですが、おもしろくてどんどん読み進んでしまいました。特に、家族連れで敷居の高そうな古書店に潜入するくだりがおかしいです。父親につき合っているうちに小3の長男が「パパ、ここにはありそうだね」「いい本がだよ」と言うまでになります。なぜなら「なんか、ブキミな匂いがするんだよ」と。不気味な匂いの正体は本書で明かされ、父の鹿島さんにとっては、それは陶然とするかほりなのです。
読了日:12月01日 著者:鹿島 茂
あたらしいみかんのむきかた
おもしろすぎます。みかんの皮を付け足しも切り取りもしないで、そのままいろいろな形に向いていくという指南書です。しかし、むいてくれるのが「むきおくん」という少年で、妹や友人、家族を巻き込み、むいてむいてむきまくる。わし、たこ、いか、たいよう、へび、、、自分でむかなくても笑えます。
読了日:12月01日 著者:岡田 好弘
お読みいただきありがとうございました。