交際相手を求むマーク、29歳、ブリストル在住。

独身の白人男性。カネなし、車なし、テレビなしの無職。
持ち家あり(全長4.3メートルのトレーラーハウス)。
カネなし生活を好み、国内製有機食品に関心を持つ独身のビーガン女性と会いたし。
ユーモアのセンス抜群。モデル並みの容姿。
夕方の雑草とり、夜明けのソーラーシャワーをご一緒しませんか。
 
 
お金の要らない世界を夢見るマーク・ボイルが、金銭を一切使わずに暮らした1年間の体験がつづられています。
 
冒頭の囲みは、この生活をはじめて5か月後に、つき合っていたクレアと別れた後に載せられていました。(募集してるのは私じゃないですよ)
 
この時代に、お金をまったく使わずに生活することの大変さに、彼女はついてこられませんでした。
 
 
著者のマークは、社会的不公平や環境問題に心を痛め、なるべく環境に負荷がかからない生活をしていました。
 
カネなし1年を決意するまでも、年間五千ポンド(77万円ぐらい)で暮らしていたというマークですが、倹約生活とカネなし生活の違いに「肝をつぶしてしまった」といっています。
 
ペン1本、紙1枚買いに行くというわけにはいきません。
一からつくろうとすれば大変な労力がかかります。
 
マークが生きるために物を手に入れる方法は、採取するか、自分でつくるか、つくれる人と知り合いになって、お金を介さない取引をすること。
 
本書では、マークの1年間のドタバタがユーモアを交えて語られます。
 
圧巻はこの実験の締めくくりに開かれたパーティーです。
フリーエコノミーパーティーと題して、数百人分のフルコース料理をふるまい、無償で演奏してくれるミュージシャンに出演してもらう大規模なイベントでした。

 

感動的な一日だった。

皆が見返りを一切期待せず、その日のために自分のできることをしている姿には、非常に心をゆり動かされた。

 

人間が「どれだけ得られるか」でなく「どれだけ与えられるか」を考えて生きることにしたならば世の中はこうなるだろう、という最高に美しい例を見せてもらったのだ。

 

1年間という区切りをもうけておこなったカネなしの実験でしたが、マークはその後も、「必要なものを分かち合い、助け合う」ことをとおして、人間どうしの絆とコミュニティーの再生を目指す活動を続けています。

 

まったくのカネなし生活も、いきなり買い物を減らすのも現実的ではないし、だれもができるものではないでしょう。

 

 

この本を読んで思い出したのは、ベア・ジョンソンさんのゼロ・ウェイストという取組です。

家族4人で、ごみを極限まで減らした経験をTEDで披露してます。

 

 

 

 

知らなかったのですが、本も出てました。

 

 

 

少し前までは、日本でも「助け合い」という暮らしがあったように思います。

たしかにお金があれば何でもできるような気もしますが、逆に言えば、現代人はお金がないと何もできなくなっているのかもしれません。

 

ぼくの経験では、何の見返りも期待せずに惜しみなく与えていれば、必ず人からも惜しみなく与えらえる。

 

この魔法のダンスに、地球全体の生態系は基づいている。

 

これをキリスト教徒は「自分のまいた種を刈りとる」と表現し、仏教徒は「因果応報」と呼ぶ。無神論者に言わせれば「常識」だ。