まじめで能力があるのに自信がない高校1年生のサヤカ。
クラブ活動ばかりで、机に向かったことのない中学生のヒロキ。
2人の姉弟が服役中の無期懲役囚と、手紙でやりとりをするようになります。
母親が美達さんの本を読んで感想を書き、文通をするようになったことがきっかけでした。
美達さんは、殺人の罪で服役中です。
無期懲役は仮釈放の可能性もあるそうですが、彼は自分の罪を悔いて、一生刑務所から出ないことを決めています。
子どものころは「IQ150の天才児」と呼ばれ、けんかも強く、300戦以上して同級生には無敗、年上の不良にも一目置かれる存在だったといいます。
社会に出てからも、営業で年8000万をかせぎ、自分で事業も行っていました。
小学生のころから同級生に勉強を教えたり、中学校では、中間・期末試験の出題傾向のプリントをガリ版で刷って売っていたというだけあって、教え方がとてもうまいです。
何のために勉強をするのかと、子どもらしい質問をするサヤカさんに美達さんは答えます。
世の中は楽しいこと、好きなこと、簡単なことばかりではありません。
そのようなときに「何にでも平然と取り組める、解決できる、忍耐強く続けられる」という能力を養うための訓練が勉強なのです。
「世の中は、先天的才能だけで構成されているのではない、どれだけ取り組めるか、続けられるかであり、それは目標や目的の強さに影響される」というのが持論という美達さん。
今、志望校に受かるというだけの話ではなく、子どもたちにとって一生の財産となる「続ける力」を身につけられるように手紙を通して教えていきます。
子どもたちからは、親しみを込めて「みたっちゃん」と呼ばれ、勉強の目的、続ける方法、読書、記憶力の鍛え方、時間の使い方、目標の決め方、孤独の効用、不安への対処など、さまざまな疑問に答えていきます。
社会にいたころは月に100から200冊、刑務所の中でも、月に80から120冊の本を読むという美達さんは本当に何でもよく知っています。
ヒロキ君には、目がよくなる方法、100メートルが早くなる方法、けんかの仕方なども教えます。
サヤカさんに「足が細くなる方法」を教えてくださいと言われると、「よくぞ訊いてくれました。みたっちゃん、男のくせにちょっと詳しいのです!」と、嬉々として答えます。
みたっちゃんは昭和34年生まれですから、このときで50歳は過ぎていたと思います。(単行本の発行は2013年)片や、平成生まれの姉弟ですから、親子ほどの年の差があったと思います。それでも、みたっちゃんと姉弟の関係はとてもフラットなのです。ちょっとお兄さんぐらいの感じです。
自分に甘いと嘆くサヤカさんに美達さんはこう言います。
自分に甘いとありましたが、世の中の99.99%の人は自分に甘いのです。自分の弱い心と戦い、苦しみ、悩みながら頑張っている人のほうが多いのですよ。そうして、少しずつ強くなっていきます。
本書の帯には「したい人、10000人。始める人、100人。続ける人、1人。」というキャッチコピーがついています。これは作家の中谷彰宏さんが作ったもので、編集者が見つけ、本書の趣旨にぴったりだということで、中谷さんに承諾を得て使わせてもらったそうです。
私も、もういい大人なんですが、いつまでも子どもっぽくてこんな本が心に響きます。
自分で言うのもなんですが、見た目は20代後半だし(主観です)、街を歩けばナンパされるし、お酒を買おうとすると年齢確認されます。(事実です)
そして、いくつになっても学ぶ心は忘れたくないと思っています。
こちらは月に100冊以上本を読む「本の虫」美達さんのブックガイドです。
「社会性」を身につけるために
『自分の小さな箱から脱出する方法』
『影響力の武器』
「心の支柱」を見つけるために
『生くる』
「物質文明に惑わされてないか?日本人の心を問う」と紹介されていて興味をひかれます。
子どもに読ませたい本
『夏の庭』など
なぜ、こんな人が人を殺したのだろうと思った方は。