パワハラ、セクハラは何となくわかりますが、モラハラというのはよくわかってませんでした。
モラル・ハラスメントという言葉が日本で知られるようになったのは、1999年にフランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌの著書『モラル・ハラスメント—人を傷つけずにはいられない』が翻訳されてからだそうです。もう20年以上前ですね。
その定義は「モラル・ハラスメントとは、言葉や態度で繰り返し相手を攻撃し、人格の尊厳を傷つける精神的暴力のことである」
日本ではトラウマへの理解が遅れて、長く精神的暴力を大目に見がちという状況があったようです。今ではそんなことはないと思いたいですが、「傷ついた」という人に対して「なんだそれくらい」という反応があるのも現実でしょうか。
パワハラが力関係を伴うのに対して、モラハラは上下関係がない場面でも生じるのが特徴です。そのため部下から上司へのモラハラということもあり得ます。
加害者は、言葉や態度によって巧妙に相手を傷つけます。
被害者は気づかないうちに「悪いのは自分のほう」という意識になるというから怖いです。
一種のマインドコントロールが働いているようです。
欧米と違って、日本の場合はささいなコミュニケーション不足が問題になっているだけという場合もあると、筆者は言いますが、「真性モラハラ」とも言うべき、強烈な自己愛のゆがみがベースになったモラハラは、よほどのことがないかぎり、まず治ることはないそうです。
彼らは、社会の中で法律を犯すかわりに、家庭内や職場で自分勝手な振る舞いをしている、と言ってもよい。
その場合の対処法としては
第1条 「もしかしてモラハラ?」という感覚に目をつぶらない
第2条 相手を理解しようとする気持ちを捨てる
第3条 自分を卑下する気持ちを捨てる
第4条 自分らしく生きられないことが何よりも辛いと認識する
第5条 自立して生きられる自分の世界を確立する
もしかして、自分がモラハラしてないかと心配になったら?
コミュニケーションのコツは「言うが3割、聞くが7割」です。
大切なのは「この人は今どういう気持ちで何を言おうとしているのか?」と細心の注意を払い、それを配慮しながら自分の次の意見を決め、ときには柔軟に変えるということだそうです。
一方、ほんまもんのモラハラ人間は、こういう本は読まないし、読んだとしても自分のこととはまったく思わないそうです。
やっかいです。