秋月和也は熊本に住む高校2年生。

和也の学校では、修学旅行で東京ディズニーランドに行くことになっていた。

夏休み中の登校日、ディズニーランド行きを楽しみに盛り上がる同級生に、つい自分は行ったことがあると嘘をついてしまう。それなら写真を見せろと言われ、夏休み明けに持ってくると約束するが。

 

貯金の3万2,000円でツアーを申し込み、母親にも嘘を言って1万円をもらい、ディズニーランドに行くことができたが、羽田行きのバスが渋滞に巻き込まれ、所持金3400円で帰りの飛行機に乗り遅れてしまう。

 

親切なお土産屋のおばさんが一晩泊めてくれることになり、青春18きっぷのバラ売りを金券ショップで買って帰ることを提案してくれるが、またもやアクシデントが生じて……

 

和也は無事に家に帰ることができるのか。

 

行く先々で出会う人が知恵を授けてくれます。

 

最初に泊めてくれたおばさんは、「あなたが泊った家では、食後の後片づけ、布団の上げ下ろし、風呂掃除から、トイレ掃除、誰よりも早く起きて、朝のゴミ出し、部屋や廊下、階段の掃除から玄関の掃除まで、そりゃあもうこれでもかというくらい、しっかりやりなさいよ」と教えてくれます。

 

「それができればね、世界中どこへ行っても居候できるわよ」

 

和也を助ける大人たちも完璧ではなく、それぞれが事情を抱えています。

その問題が、和也を助けたことによって動き出し、人って一人じゃないな、お互いさまだなと思える温かい内容です。

 

あなたにとって居心地のいい場所は、まわりの人があなたに何をしてくれるかによってじゃなくて、あなたがまわりの人のために何をするかによって決まるの。家も、学校も、職場も、全部同じね。そんなこと考えなくても、あなたがそこそこ幸せだったのは、あなたの家には、たとえあなたがどんな態度をとってもそれを毎日やってくれる人がいるからよ。そのことを忘れちゃダメね。

 

この本は前に読んだ『情報断食』の中で紹介されていました。

表紙の赤い自転車にまつわる不思議なお話が書かれていました。

 

 

 

2010年11月25日初版発行

サンマーク出版

定価:本体1400円+税