100年かけて大きくなる木

青森ヒバは秋田スギ、木曽ヒノキとともに、日本の三大美林です。

青森ヒバはスギやヒノキの2~3倍の時間をかけてゆっくり成長するのが特徴。

ほとんどの木が30年~50年で成木になるところ、青森ヒバは100年かけて大きくなります。それから長い時間を過ごし、寿命はだいたい800年~1000年といわれています。

 

村口さんは青森県下北半島風間浦村の出身。

実家は祖父の代からの製材所で、跡を継いだお父さんが青森ヒバを偏愛するあまり、青森ヒバだけを扱っているそうです。

 

総青森ヒバ造りの生家で育ち、ヒバはお父さんの匂い。

製材所から帰ってきたお父さんは、いつもスーッとした香りがしたそうです。

 

東京に出て、ファッションの道に進んだ筆者は、いくつかの偶然も重なり「青森ヒバをデザイン」する仕事を始めます。

展示会で青森ヒバのチップを配ったところ、青森ヒバを知っている人が少なくて驚いたそうです。

筆者にはあたりまえのものも、都会では知名度がとても低かったんですね。

 

本書では青森ヒバを育てる過程から、活用のしかたまで紹介されています。

 

 
丸ごと青森ヒバ・わいどの家
「わいど」とは、下北弁で「わたしたち」という意味。
丸ごと全部青森ヒバを使用した一軒家、わいどの家です。
 
ヒバの精油やバスソルト
 
 

カルデサックの扉を開けた途端、「森の中にいるみたい」と言ってくれるお客さまがいます。わたしはその言葉を聞くたびに、うれしさと不安の中で気持ちが揺らぎます。

 

日本は国土の7割が山です。実は都市部はごく一部で、ほとんどは山なのです。日本は世界有数の森林大国といってもいいでしょう。しかし、山々は悲鳴を上げています。国内に流通している木材のほとんどは安価な外国材。遠い国から伐採して、輸送しても国内材より安いからです。(おわりにより)

 

2019年5月24日第1刷

パルコ出版

定価 本体1600円(税別)