はじめにより

西洋美術には、性的なニュアンスを含んだ絵画や、危険な香りのする作品が多い。それらを、色彩の鮮やかさや線描の巧みさだけに注目して楽しむのもひとつの正しい鑑賞技法だろう。しかしここにとりあげた主題のように、作品が描かれた社会状況や背景にあるストーリーを知ることで、作品の楽しみ方は、一層広く深いものになる。

 

背徳です。

第1章はいきなり「凌辱する神たち」

ギリシャ、ローマの神々が性的にだらしないというのはなんとなくわかります。

「獣姦」や「略奪」「ストーカー」などが頻出します。

 

ゼウスは父親によって幽閉された美しい娘ダナエと黄金の雨になって交わります。

クリムトの『ダナエ』です。

 

 

聖書だって負けてません。

「カインの兄弟殺し」

「英雄ダビデが、部下の妻バテシバを寝取る物語」

「父と寝るロトの娘たち」

 

聖書は女性美を賛美するどころか、性に対する嫌悪と不信感にあふれている書なので、その魅力を肯定的に扱われている女性は非常に少ないのだそうです。ここがギリシャ・ローマとの大きな違いです。

 

わずかながらヌードで登場する女の一人エヴァ。

禁断の実を口にして恥の意識を持つまで陰部を隠そうともしない。

これは裸体を描きたい画家にとって格好の素材だったようです。

 

不倫や売春、同性愛、少年愛。

 

『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルは少女たちにお話を語って聞かせるのが好きだったとか。

実在のモデル・アリスによれば、その関係は健全だったといいますが、キャロルが撮った少女の写真の露出度が多いことや、生涯独身だったことから、作品に疑念を抱く人もいます。

少女性愛者ではなかったのかと?

 

 

ギュスターヴ・クールベの煽情的な絵画など、美術館の中でも目立たない小部屋などにおかれていて、普段見ることのできないような絵も紹介されています。

 

三島由紀夫が聖セバスティアヌスのポーズで撮った写真とか

 

 

 
画像はお借りしています。

 

「男の死」をテーマにした写真集のために撮影されたもので、最後の1枚を撮った5日後に自決したのだそうです。

1968年11月に雑誌『智と薔薇』創刊号に掲載。

 

日本の浮世絵はいやらしいと思っていましたが、西洋絵画にもエロい絵はたくさんあるんですね。

 

調べると、同じ作者の『官能美術史』とか山田五郎さんの『ヘンタイ美術館』とかあるんですけど、もういいかな。

 

歴史も学べて勉強になりました。

 

 
 

2020年10月31日 初版第1刷発行

エムディエヌコーポレーション

定価(本体1800円+税)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝から失礼しました。