およそ100年前、

南太平洋・サモアの島の族長ツイアビが、

はじめてヨーロッパを旅した。

 

この本は、旅のあとに、

ツイアビが島の人々に語った文明国での

体験や印象をまとめたものである

 

 

1981年に発行されて以来、100万部のベストセラーとなった「パパラギ」

お読みになった方も多いのではないでしょうか。

 

 

児童書版が出ておりました。

 

 

 

「パパラギ」とは「白人」を意味する言葉。

いまは文明と物質が生活を豊かにすると疑わない人々を指すと言います。

 

もちろん日本人も。

 
ツイアビが見た「パパラギ」の滑稽さが語られます。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「パパラギ」は布で体を隠し、体は罪深いものだという。

 

かたい革で足を包むので、足は腐りかけていて、いやな匂いがする。

 

 

パパラギの住むところ

それぞれの家族は、壁一枚へだててとなり合っているのに、ほかの家のことは何も知らない。

 

壁一枚のあいだに、マノノ島やサバイ島や、たくさんの海があるようだ。

 

物について

パパラギは何でも袋や箱に入れる。

箱、箱、箱、箱。

ひとつでじゅうぶんなのに、たくさんの物を作る。

 

パパラギは、自分たちの生活の味けなさに、じつは気がついている。

 

だからこそ、さまざまな汁にひたした毛を使って、白いむしろの上にきれいな絵を描き、それ以外に仕事をしないという変わったパパラギがいるのだろう。

 

私の・あなたの

自然の大きな力によってたくさん物を持ったら、仲間に分けてやらなくてはいけない。

 

誰かひとりがたくさんの物を持つのは自然の心ではない。

 

にせものの暮らし

パパラギは一生懸命に、

このにせものの暮らしを楽しむ。

じぶんのほんとうのくらしを忘れてしまうほどだ。

 

これはもう病気に近い。

 

もし本当の人間なら、

暗い小屋の中の幻の生活なんかに目もくれず、

明るい太陽の下で、

温かい本当の生活をほしがるはずだ。

 

 

100年前に書かれた本ですが、古びるどころか、いまこそ、行き過ぎた便利な生活を見直すべきだと迫ります。

 

訳者の岡崎さんは1981年版を訳した方でもありました。

もっと若い人たちに読んでもらうために、リメイクしたとおっしゃってます。

 

 

『パパラギ』は

私たちに立ち止まることを、

振り返ることを

教えてくれているように思います。

(あとがきより)

 

 

2021年7月13日 第1刷発行

学研プラス

定価:1430円

(本体1300円+税10%)