岩崎さんは3歳で進行性の筋ジストロフィーを発症。現在は常に人工呼吸器を使い、胃ろうから経管栄養で食事し、生活のすべてに介助が必要な体でベッド上で過ごしています。
死にたいと思った17歳のとき、それでも生きることを選び、苦しみの中から詩を生み出します。
37歳のデビュー作。
貧しい発想
管をつけてまで
寝たきりになってまで
そこまでして生きていても
しかたがないだろう?
という貧しい発想を
押しつけるのはやめてくれないか
管をつけると
寝たきりになると
生きているのがすまないような
世の中こそが
重い病に罹っている
本当に花のある
人がいる
その花は年を重ねても
色あせない
楽観の 母の輝き
笑うことって
こんなに幸せを
もたらしてくれる
その横顔を
じっと見つめる
残すこと
生きた証を
残すこと
このように
生きたと
地獄の一丁目も
涙の河も渡り切って
生きてきたんだ
その誇りを
抱きしめていく
2013年7月3日 第1刷発行
ナナクロ社
2021年6月15日
第2詩集『震えたのは』発行