私がさびしいときに、よその人は知らないの。
私がさびしいときに、お友だちは笑うの。
私がさびしいときに、お母さんはやさしいの。
私がさびしいときに、仏さまはさびしいの。
『さびしいとき』金子みすゞ
自分より大切な人を亡くした、信頼していた人に裏切られた。
一生治らない病気と宣告された。
人生には自分ではどうにもならない事態に直面するときがあるものです。
その悲しみは人にはわかってもらえない。
災害のニュースを見て心痛めても、
画面の前を離れれば、人はワインを飲み、合鴨のローストサンドを食べる。(えっ?私だけだって?)
当事者にはなれません。
人にわかってもらえないことによって、悲しい人は孤独になる。
死んでしまいたくなるかもしれません。
悲しむ人を励ます人もいます。
最初は親身になって話を聞いてくれますが、
いつまでも落ち込んでると相手にしてくれなくなります。
人は自分が励ました人が立ち直るとうれしいけど、
そうでないと腹が立つらしいんですね。
励ましに応えられない自分のふがいなさと、
またも理解されない孤独で死にたくなるかもしれない。
そんなとき、無理に立ちあがろうとしてはいけません。
悲しいときは悲しい音楽。
つらいときは救いのない物語。
そういうものが必要なんだそうです。
元気を出すための前向きな読書ではなく、
孤独に寄りそう物語
『新ハムレット』太宰治
『絶望名人カフカの人生論』
『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』
『罪と罰』ドストエフスキー
『カラマーゾフの兄弟』
『桂米朝上方落語大全集』第一期~第四期
映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
映画『愛すれど心さびしく』
ドラマ『家族熱』
絶望しているときに読むとよくない本
『7階』ディーノ・ブッツァーティ
備えあれば患いなし
できれば、元気なときに読んでおくといいそうです。
呑気と見える人々も、
心の底を叩いて見ると、
どこか悲しい音がする。
夏目漱石
2016年5月14日第1刷
飛鳥新社
定価:1389円+税
読んだ日:2021年7月4日