中学のとき、隣のクラスにかわいくて頭のいい女の子がいました。

その子がいつも読んでたのが辞書。

引くとか勉強するとかではなく、普通の本のように1ページ、1ページ読んでました。

 

堀江貴文さんの『ゼロ』という本に、堀江さんも小学生の頃、百科事典を「あ」から順番に読んでいたとあって、アタマのいい人ってそうなんだなあと納得したものです。

 

辞書蒐集・研究家のながさわさんは、1000冊の辞書を所有しているといいます。

クロゼットの床がね、歪んで閉まんないんだって。

その大量の辞書を比較して、辞書ごとの傾向をまとめています。

 

「誤用」とされる言葉の辞書ごとの扱い

×押しも押されぬ

○押しも押されもせぬ

辞書を引き比べてみると、誤用としているのは『大辞林』『三省堂国語辞典』『例解新国語辞典』

 

一方、日本最大の国語辞典『日本国語大辞典』では、「押しも押されぬ」を見出し項目として、出典も明示し「押しも押されもせぬ」の別語という扱いをしているそうです。

 

挙げられているのはこちら。

「半年経たぬうちに押しも押されぬ店となった」『夫婦善哉』(1940)<織田作之助>

 

※実は『日本国語大辞典』全10巻、夏井いつき先生が日経の夕刊に連載を持っていたときに、そそのかされて買ってしまったのだよ、わたし('◇')ゞ

場所取りますよ、これは。まさに鈍器本です。10人やれます。

 

新語に強いのは『大辞林』

エモい、きしょい、ざこい、しもい(意味分かりますか?)、謎い

全部載ってます。

 

一方、辞書に載っていない言葉として「ひょろい」

綿矢りささんのデビュー作『インストール』に出てきます。

 

辞書マニアが燃えるのが、辞書が改訂されたとき。

表記が変わったり、時代によって意味が変わったり、ジェンダーフリーの流れから注釈が変わった言葉もあるようです。

 

あきのそら【秋の空】秋のころの、変わりやすい天気。(異性、特に女性の変わりやすい心の意にも用いられる)

あきのそら【秋の空】秋のころの、変わりやすい天気。(変わりやすい心の意にも用いられる)

 

三浦しをんさんの『舟を編む』を読んだとき、辞書を作る仕事の壮大さを思いましたが、辞書を読む人もまた、おもしろいのです。

 

河出書房新社

発行 2021年4月20日

日付 2021年6月16日

定価 1420円(税別)

「誰も寝てはならぬ」ほか

アリア集を聴きながら