渋谷区初台にあるfuzukue(フヅクエ)は、阿久津さんが5年前にオープンした本を読むことに特化したお店です。

 

パソコン禁止、書き物禁止、私語禁止とさまざまなルールが書かれた案内書は1万2000字に及びます。

席料を取ること、オーダーにより席料がだんだん安くなることで、長時間滞在されてもお店が疲弊しない仕組みを作りました。

 

阿久津さんは、カフェで、バーで、ブックカフェで、本を読もうとリュックを背負って出かけ、なんか違う~、街に本を読める場所がない~と嘆きます。

 

「若い、自分の外貌に一定の自信あるいは自覚がありそうな、非常に勢いのありそうな女性」が店員さんのブックカフェで、自分が場違いであることに気づき、底なしの孤独を感じてしまうとか、「大きなカフェ」では、パソコンを広げて猛烈に働いたり、華麗に打合せをしている中で、ぽつねんと本を読んで、孤立感を感じるとか……

 

そこで、「本を気持ちよく楽しくうれしく読みたい、それを可能にしてくれる場所はどこかにないか、どうあればそれが実現できるかを考え続け」フヅクエをオープンします。

 

お店は、本を読みたい人だけをお客さんとして、自由を制限し、気兼ねなく長居できるようにし、雑に使ったり、使い倒したりできないようにし(飽きない工夫をし)、現在、下北沢に1店舗、6月15日には西荻窪店もオープン予定です。

 

阿久津さんは町に映画館があるように、本を読める店があるといいと語ります。

 

見たい世界をきちんと夢見る

 

個人店には厳しい時代ですが、自分の不満を突き詰め、それを解決していく。

そこに生き残りのヒントがあるかもしれません。