「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ内で栞子さんが紹介している古今の名作13冊を選りすぐって掲載。長編は冒頭や本編で紹介している部分を、短編は全文を掲載。(Amazon)
『江川蘭子』江戸川乱歩
『黒いハンカチ』小沼丹
『断崖の錯覚』黒木舜平(太宰治)など
巻末には『事件手帖』シリーズ本編で栞子さんが解説しているシーンが抜粋され、「栞子さんの解説」として載せられています。
『冬の神話』小林信彦(角川文庫)の解説
「1966年に刊行された長編小説で、自らの体験をもとに太平洋戦争中の学童集団疎開を描いた傑作です。陰険な暴力に支配されていく生徒たちの中で、級長を務める主人公が次第に孤立し、追い詰められ………あ」(ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~)
【本文の抜粋】
これから来年の春までにどんなことが起こるだろうかと私は考えた。予定では、私たちがこの寺にいるのは半年だったが、私にとっては永遠のように思われた。日本の前途も分からないが、私自身のそれはもっと分からなかった。二度と親たちに会えるかどうかも分からなかったし、来春の中学入試に至っては――国そのものがどうなるか分からぬ時に――あるのかないのか、さっぱりわからない。確実なものは何一つなかった。
『われに五月を』寺山修司
夏蝶の屍をひきていく蟻一匹どこまでゆけどわが影を出ず
春の海を祖国とよびて新しき血にさめてゆく日をわれも待つ
ここで、昨晩、涙腺崩壊。
どこに「泣きのツボ」があったのか分からないのですが、泣くことはとってもいいことらしいです。
最後はシェイクスピア
河合祥一郎さんの『新訳 ヴェニスの商人』(角川文庫/平成17年出版)と『新訳 ハムレット』(同/平成15年)からの抜粋ですが、いい訳です。
声に出して読んでいると、だんだん調子に乗ってきます。
イギリスでは大根役者をハムレットにちなんでハム役者といいますが、役者じゃないし、誰も聞いてないし(笑)気分いいです。
泣いたり、台本読みしたり、そんな週末の夕べでした。