京大総長の山極先生ですが、小中高生と話す機会もあるそうです。
その中で、「スマホを捨てたい人は?」と聞くと、結構な数の子どもが手を挙げるのだとか。
子どもたちもスマホ疲れをしているのかもしれない。
人間のコミュニケーションにおいて大事なのは、時を共有して同調すること。
信頼はそこからしか生まれません(p28)
SNSでつながっているというのは幻想で、そこには言葉しかない。
言葉を発した人はその場にいないので、勝手な解釈が許される。
再現する過程で誤解が生じるのは当たり前で、それを避けることはできない。
実際に会って話すと、この人はこう言ってるけど、本当は違うのかなとか、今言った言葉はちょっと傷つけたかなとかわかります。
文字だけだと、本当のところはわからない。
人間にとってはしんどいんですね。
先生の専門はゴリラです。
コンゴ共和国でゴリラとともに生活する活動に紙面が割かれます。(ここがおもしろいんだわ)
ゴリラははじめ警戒して、威嚇したり攻撃したりします。(命がけ)
けれども、だんだん慣れてきて、おまえはゴリラじゃないけど、ここにいてもいいよみたいな雰囲気になるんだそうです。遊ぼうとちょっかいを出してきたり、グルーミングしてくれたりする。
ゴリラを研究してわかったことは、非言語以外の身体コミュニケーションの大切さでしょうか。
スマホラマダンを勧めています。
が、本書を書き終えた時点でコロナ禍が生じたとのことで、あとがきでコロナ時代のコミュニケーションのとり方が提案されています。
・会えない友だちと日々の出来事を報告し合う。
・発見したことや感動したことを伝えて共有する。
・映像や声を使ってコミュニケーションをとる
・言葉の多用は誤解を生むので、深く話し込まず、近況報告にとどめる。
人間は本来、他者に迷惑をかけながら、そして、他者に迷惑をかけられながら、それを幸福と感じるような社会で生きていく生物。
「生物」として進化してきたことを自覚し、生物としての人間の幸福な在り方、生き方を考え、現代文明と付き合っていくことが必要だそうです。