1984年、日清戦争が起こった年。

キリスト教思想家内村鑑三は「後世への最大遺物」と題する講演を行った。

 

世の中には、財産や知識を持たず、文章を書くこともできない人もいる。

そうした人も真摯に生きることによって、この世は生きるに値する意味があることを体現できるという内容だ。

 

そこで筆者が思い出すのが、レイチェル・カーソン。

(レイチェル・カーソンいろいろ遺してると思いますけど)

 

レイチェルは1964年に56歳で亡くなる。

翌年、発行された遺著が「センス・オブ・ワンダー」

 

彼女がいう「ワンダー」とは単なる驚きではない。

そこには「いのち」への畏怖がある。

 

「世界中の子どもに、生涯消えることのない『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を授けてほしい」

 

「この感性が、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤となるのです」(上遠恵子訳)

 

若松さんは、近くに顔を寄せて花を眺める前に、それにまつわる情報をインターネットで検索する現代人の生活様式も、彼女の目には「人工的」に映ったに違いないと書かれています。

 

うーん、ここにも情報社会の弊害。

来年は「沈黙の春」刊行から60年になるそうです。

 

もう一度、賢者の遺産を受け取り、自然と共生する道を見出さなくてはならないと結んでいます。

 

お読みいただきありがとうございました。