本物の瓦版は、時代劇に登場するものとは相当異なっているそうです。
理由として
一つ 江戸時代には「表現や報道の自由」が非常に制限されていた。
二つ 瓦版を作る側に今のマスメディアにみられるような使命感や責任感がなかった。
三つ 当時の庶民が現代人とはかなり異なった感性を持っていた。
筆者の森田健司さんは大阪学院大学経済学部教授、ご専門は社会思想史です。
江戸時代の庶民の実態を知るという調査・研究のために瓦版を集め始め、魅力に取りつかれてしまったそうです。今や千枚以上の瓦版を所有しているといいます。
掲載の瓦版はこんなふうに分類されてます。
1 怪異と珍獣
2 黒船襲来
3 敵討(かたきうち)
4 戊辰戦争
5 江戸の大事件
6 大火と地震
7 美談と奇談
8 見立番付
筆者が所有している瓦版の中でも内容がおもしろいものが紹介されています。
ビジュアルも素晴らしいです。
瓦版というのは、実は違法だった。そのため、売り子(読売といったらしい)は店舗を持ちませんでした。蓑をかぶって二、三人で、役人の取締まりを警戒しながら売っていたそうです。
ちなみに瓦版と呼ぶようになったのは後代のことで、当時は「読売」と呼ばれていたそうです。
売り物も売る人も「読売」。(読売新聞の宣伝ではありません)
見立て番付というのがおもしろいです。
現在の何でもランキングでしょうか。
昔から、人はランキングが好きですね。
例えば、温泉ランキング
東の大関は「草津温泉」、西の大関は「有馬温泉」
江戸時代は大関が最高のランクです。
貧乏と縁が切れない人の特徴なんていうのもあります。
「ちろり酒のはしご飲み」(バーでこれをやると、チャージ料がかさみますね)
「身に合わぬもの着て暮らす男」(余裕がないのにハイブランドのものばかり着る人)
愚者と賢者のランキング江戸版
賢者「色男に惚れぬ女郎衆」
愚者「女湯を外から覗いている男」(悲しい)
愚者と賢者のランキング大阪版
あほう「蛍狩りに行って肥溜めに落ちる男」
かしこ「七十を過ぎた隠居の愛人になる者」
明治時代に作られた「あほ」のランキングに「西郷隆盛が生きているという人」というのがありました。
西郷生存説は当時新聞でも取り上げられたので、本気で信じている人がいたそうです。
今だって、新聞にだまされることありそうですね。
参考になります。(なるのか)