パニック障害の夫と謎の免疫性疾患を抱えるこだまさん

夫は高校教師で妻は元小学校の先生

 

高校生のとき、学級日誌のフリースペースに自分の悩みを書くというお題があった。

 

「一体みんなは何をつづっているのだろう。ページをめくっていくと、そこには「好きな人に振られて苦しい」とか「兄とけんかして前歯を折られた」といった、瑞々しくて痛々しい生身の声が押し込まれていた。読まれることを前提に、ひっそりと、しかし勇気を持って、胸のうちを告白している。痺れてしまった。そんな赤裸々な恋愛や家庭事情に比べたら、私の悩みなど平凡かもしれない」

 

こだまさんは「思っていることを何も話せない」と日誌に書いて、走り去ります。

後日、担任の所見欄には「もっと悩め」

「こんなに悩んでいるのに、まだ足りないというのか。悩んだ先に何があるのか。高校生の私には、この言葉が深いのか、いい加減なのか分からなかった」

 

子どもの頃から、育児ストレスを抱える母親から罵詈雑言を浴びせられ、何でも自分が悪いのだと考えてしまうというこだまさん。

人前で話せないという深刻な悩みがありながら、何と憧れの小学校の先生になってしまう。

その辺はデビュー作に詳しいのですが、学級崩壊の憂き目に遭い、教職は離れることに。

どこまでもどこまでも後ろ向きなのに、読んでると思わず笑ってしまう。

 

・校長室から逃走してしまう夫

・家にサウナをつくろうとしてお風呂を壊してしまう父

・筆者と同じように知らない人と話せなかったはずが、晩年、異常に社交的になってしまう祖母

 

私はこのエッセイでこだまさんを知って、デビュー作「夫のちんぽが入らない」も読んでみました。

タイトルが刺激的ですが、装丁が美しい。

セクシャルな描写があるので、内容が苦手な方はこちらのほうが読みやすいでしょう。