日経の文化面に角田光代が『救済について』という文章を寄せている。

 

コロナ下、作家の仕事は人に会わずにできるので、仕事や読書に集中できるかと思ったが、そんなことはなかった。

ものを書くことにも、本を読むことにも、びっくりするほど集中力が持続しなくなったというのだ。

 

何をしたかというと、韓流ドラマにはまった。

人に勧められるまま、「愛の不時着」を見て、「梨泰院クラス」を見て、「ミスティ」を見て……

毎日、毎日、よくこんな水分があるなと思うぐらい泣いて見ていたという。

 

角田さんが思い出したのが佐野洋子の『役に立たない日々』

佐野さんが乳がんの手術をして1年後の2005年、「冬のソナタ」にはまり、次々と韓国ドラマを見続ける。

「抗ガン剤の不快さを韓流で乗り切った」

 

角田さんは、「新型ウイルスのパンデミックによる不安を抱える人は多いと思うけれど、それがどんなふうに作用するかは人によって大きく異なっているのではないか」と書いている。

救済のありかたもまたそれぞれなのだろう。