ことしはめっきり本屋さんに行かなくなりました。

 

新型コロナウイルスがまだ姿を現す前の2018年2月、医師の裴英洙氏は、自著『一流の人はなぜ風邪をひかないのか?』の中で、触らない!近寄らない!「危険地帯」として書店や図書館に展示された「見本・サンプル」を挙げていました。

 

当時は神経質とも思えた幾つかの対策を今年は多くの方が実行せざるを得なかったのではないでしょうか。

 

というわけで(どういうわけだよ)『向田邦子ベスト・エッセイ』です。

本屋で買ったのです。

命がけです(そんなの豆腐買うのだって命がけです)

 

向田邦子ですから、面白くないわけがありません。

しかも、選者が妹の向田和子

『父の詫び状』『眠る盃』『男どき女どき』など7つのエッセイ集から選ばれた50篇

 

「そうだったそうだった、と自分の記憶のように思い出すものもあれば、遠い記憶の底から浮き上がってきて、新鮮な感動を覚えるものもある」と角田光代が解説する。(そうなんですよ、解説が角田光代。時の流れを感じます)

 

黒柳徹子が留守電に9通話も連続で、立て板に水の早口で喋りまくりながら、結局、用件はじかに話すわねということになったという、有名なエピソードが書かれている「お辞儀」

 

父の留守電、母の留守電へと続き、話はお辞儀に移り、入院した母のお辞儀、香港旅行へ旅立つ母のお辞儀。老いた母親の乗る飛行機に「どうか落ちないでください。落ちるのなら帰りにしてください」と祈る。

 

日経コラム担当の大島三緒さんは『「春秋」うちあけ話』の中で、書評や劇評のたぐいでは「ユーモアとペーソス」が頻繁に使われるが、「人間の心を揺さぶる、この2つの作用を併せ持った作品がそんなにあるとは思えません」と述べていますが、これはまさに笑いとペーソス。

 

店頭で見るまで知らなかったのですよ。(日経の広告に載らないから)

たまには本屋さんに行ってみるものです。

 

★ちなみに冒頭ご紹介の『一流の人はなぜ風邪をひかないのか』の中で風邪・インフルエンザを激減させる行動習慣として、手洗いに行く前に「鼻くそ」をほじらないというのがありました。