8月の暑い中、千葉県の佐倉市美術館で『こうの史代展』を見てきました。
友だちが、休みが取れたので行きたいというのです。
「こうのふみよ」と読むんですね。
わたしははじめ、「こうのしだい」と読んで、歴史博物館の展示かと思いました。
漫画家・こうの史代さんは、現在56歳。
代表作『夕凪の街 桜の風』で第9回手塚治虫文化賞を受賞、同作は2007年に映画化もされているそうです。
2009年には『この世界の片隅に』も映画化されています。
このタイトルは聞いたことがありました。
というくらい、何も知らずに行きましたが、展示されているのが漫画そのもので、ついつい読んでしまって、ふつうの絵の展覧会よりもじっくり見ることになりました。
わたくしはといえば、子どのころはインドア派。
夏休みは読書三昧でした。
宿題もやらずに縁側で本を読んでいたなあ。
というわけで、久しぶりに8月に読んだ本をまとめてみました。
硫黄島については映画でタイトルを聞いたことがあるぐらいで、島の現状についても、戦没者の遺骨についてもまったく知りませんでした、ごめんなさいという感じです。1万柱の遺骨がいまだ行方不明というミステリーに加えて、1976年生まれの筆者がなぜこれほどの執念で取材・発信を続けるのかということも疑問でしたが、読み進めるうちに、とにかくこれは知ってよかった、知らなくてはならなかったと思ったのでした。エピローグでは思わず嗚咽が漏れて、通勤途中だったので焦りました。3回目の通読中です。
読了日:08月25日 著者:酒井聡平
西洋人ならではの誤解もありそうだが、社会人類学者が外から見た日本はおもしろい。どんなことも認識できると考える西洋思想とどんなこともわからないという東洋の思想の違い。「何ものにも意味はないとしることと、すべてに意味があるかのように、普通の人間として同時代の人々と人生を分かち合うこと」が賢者を解放するというのはなるほどと思った。レヴィ=ストロースが日本人の中に見出した「社会全体が必要としている役割を果たそうとする、それでいてまったくくつろいだ感じでそれを行う」という人間性は今はまだ何とか残っているように思うが。
読了日:08月23日 著者:クロード・レヴィ=ストロース
皇室の歴史をざっと概観できます。秋篠宮の曖昧な立場ゆえの苦悶というのは気づかない視点でした。『京都ものがたりの道』を読んだことで皇族に関心を持ちましたが、このままでは存続が危ういですね。自然消滅に任せていいものでしょうか。
読了日:08月21日 著者:島田裕巳
世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ (文春新書)
「新自由主義が終わるとき、日本にとっては復活の大チャンスとなる」アメリカは引き続きカジノのオーナーとしてふるまうが、システムは新たなルールで動き出すらしい。性的マイノリティである筆者は既存の体制に不信感を抱き続けてきたというが、当たり前を疑うことの大切さを痛感。価値観をゆさぶれました。
読了日:08月09日 著者:齋藤ジン
1990年代初頭、独裁体制を脱したばかりの国を舞台に始まる戯曲は他愛もない夫婦の会話で始まる。ある日、誰かの車で帰ってきた夫を問い詰める妻。聞けば車がパンクして通りがかりの人に送ってもらったとのこと。親切なサマリア人はかつて妻を拷問にかけたその人だった。体制が入れ替わり、敗者が勝者になるとき、復讐は許されるのか。ごく普通の人間があるシチュエーションで残酷なことができるのはどうしてなのだろう。考えさせられる内容だった。
読了日:08月07日 著者:アリエル・ドルフマン
大抵の人の文章は「転」がない。「よかった」「感動した」ではなく、なぜそう思ったかが大事。自分を問い詰めて、思ってもいなかったことを書く。五感を使って書く。「重複ドン」「どっさりもっさり」「分かりにくっ壁」などの実践編も参考になった。感性を磨きましょう。
読了日:08月06日 著者:近藤康太郎
久しぶりに浸れる読書。豊饒な言葉の海におぼれました。さりげなく出てくる2011年。そして、能登地震のテレビ画面を見つめる家族が印象に残ります。饒舌なようですべては語っていない。創作とは何か。引用と盗用の違いは。時代とともに変わっていく言葉の、原典だと思っているそれは本当に正しいのか。いろいろ考えさせられる。登場人物の名前にこめられた意味を考えるのも楽しい。ゲーテを読みたくなりました。
読了日:08月05日 著者:鈴木結生
「ヒザふるふる」「腕ふるふる」「黒目ふるふる」これだけでも効果あり。「母指球プレス」や「ヒジの内側プレス」はなんとなくやっていたが、理屈や効果がわかった。「黒目・胸上げ呼吸」「舌ふるふる」「黒目キャット&ドッグ」のようなレアな技も知ることができた。「お尻ふるふる」は気持ちいい~。全部やってもたいして時間もかからず辛くなくて効果的。健康本はたくさん読んでますが、これはお勧めです。
読了日:08月03日 著者:庄島義博
不安や欲をあおり、多かれ少なかれ不徳行為をもって稼ぐ金銭。そのお金を自欲のために必要以上に使うなら「銭」となる。徳を積む使い方をそれぞれが自問し、気持ちよく「お金」を使いましょうということ。生きる上で毎日使うお金。自分にとって「正しく」使えれば、よりよく生きることにつながるだろう。投資するなら自分で考えて、近くの金持ちより、遠くの貧しい人へというのはなるほどと思った。
読了日:08月02日 著者:中野善尋
池内さんの訳がかなり意訳っぽくはあるのだがわかりやすい。解説にあるカントの紹介も興味深かった。「永遠平和は空虚な理念ではなく、われわれに課せられた使命である」明日が今日よりもよくなるように、あきらめたらあかんね。
読了日:08月01日 著者:インマヌエル・カント
秋はちょっと予定が盛りだくさん。
ブログも休みがちになります。
では、また~