先日、写真家のインベカヲリ★さんの個展「一方、踊ると警察がくる街では」(3月20日~29日)におうかがいしました。
インベさんは以前から私が興味を抱いていた方で、今回の個展では私の知人がモデルになっているというご縁で行かせていただいたのですが、個展の感想は当日感情のボルテージがMAXの状態でX(@ruriyakko1107)にポストしたものでほぼ全てを表現できましたので、このブログでは個展のことではなく、インベさんとお話させていただいた際に私が感動した個展とは別件の話をシェアしたいと思います。
突然ですが、皆さんは「解離性同一性障害(多重人格)」の人は存在すると思いますか?
中年以降の方でしたら、多重人格者と聞くと
書籍『24人のビリーミリガン』を思い出す人も多いと思います。
昔の日本の事件で言えば、1988年~1989年におきた連続幼女殺傷事件の被告である宮崎勤が、裁判の中でこれは自分の中の別人格が事件を起こしたと証言をして、それが物議になったことを覚えている方もいると思います。
ただ、解離性同一性障害が犯罪の刑罰の決定において非常に重要な争点になった事件といえば、やはり自称声優の「アイコ」と名乗る人物が、出会い系サイトなどで知り合った男性に睡眠薬などを混ぜたお酒を飲ませ、現金や腕時計などを奪った昏睡強盗時間ではないでしょうか。
事件の概要は以下のようなものです。
◆事件の概要
自称声優の「アイコ」と名乗る人物(本名:神)が、出会い系サイトなどで知り合った男性に睡眠薬を混ぜた酒を飲ませ、現金や腕時計などを奪った(昏睡強盗)というもの。
◆裁判で注目されたポイント
この裁判が非常に特異だったのは、被告側が「解離性同一性障害(多重人格)」を理由に無罪を主張した点。
神被告は、犯行に及んだのは自分の中にいる「バク」という男性の人格であり、自分(主人格)にはその時の記憶がないと主張した。
◆ 性的マイノリティとしての背景
被告は、心と体の性が一致しない「性同一性障害(当時の呼称)」を抱えており、普段から男性として生活していた。事件当時は女性の格好(アイコという人格)をして犯行に及んでいたが、本人は「(男性として生きている)自分には、女性として振る舞って犯行を行う動機がない」といった趣旨の説明をしていた。
◆ 司法の判断
裁判では精神鑑定が行われ、実際に多重人格である可能性は認められた。しかし、最終的には「犯行時は、ある程度自分の意思でコントロールできる状態だった(責任能力がある)」と判断され、2017年に懲役10年の実刑判決が確定している。
私はカウンセラーとして活動している中で1度だけ「相談者のパートナーは解離性同一性障害だ」と確信をするに値する話を聴いたことがあります。
(確信に近い、という言い方をしたのは私は医師ではないため診断ができないからです)
その話は
「昨日恋人の中から突然、私はおまえの恋人〇〇中にいる△△だ、という人格が出てきて自分に話しかけてきた」
というところから始まりました。
概要を少しお伝えすると、隣で寝ていた恋人が突然上半身だけ起き上がり、目は遠くを見るような感じで口からダラーっと涎をたらしたそうです。そしていきなり
「自分は彼女の中にいる別人格△△という」
と話しだしたのだそうです。
そして、非常に恐ろしいことを話し、この話は絶対に〇〇(恋人)に言うな、と言ったそうです。
そしてそれを言い終わると恋人(別人格?)はバタンと寝てしまい、10分後に起きた恋人は、その時の状況を何も覚えていなかったということでした。
覚えていないっぽいため相談者もその別人格との一件はまだ恋人にも、もちろん私以外の誰にも話をしていないが、これはやっぱりただごとではないことが起きているかもしれないと思って相談してみようと思ったのだそうです。
※本相談については私が対応できる範囲を超えていたため、解離性同一性障害の治療ができる病院を探してどうか早めにあなただけでも専門医に一度相談してみて欲しいとリファーしました
インベさんは、犯罪心理的に興味深いさまざまな事件の裁判を傍聴し、加害者と接見をされたりもしているそうですが、この俗称「声優アイコ事件」の裁判も傍聴し続け、実際に加害者と何度もお話をされたこともあるとのことだったのです。
私は自分が聴いた前述の体験を思い出して、思わず
「それでアイコの事件を追った結果として、インベさんご自身は解離性同一性障害の人は本当に存在していると思いますか?」
と聞いたところ、インベさんははっきりと「あると思います」と仰いました。
ネットが発達した現代、困りごとを抱えている当事者同士がつながることのハードルは低くなったと思います。
しかし
「困りごとを抱えている人の傍観者としてその困りごとをどう捉えているか」
という視点からの意見はそもそも話す機会がないのが実情です。
そういった意味では今回の個展でインベさんと個人的にお話できたことで
「困りごと(本件では解離性同一性障害)を抱えている人の傍観者としてその困りごとをどう捉えたか」
という事象の捉え方が一致したということは、私にとってとても貴重で感情の浄化ができた体験でした。
私はクライアント様に継続してカウンセリングを受けるようにこちらから働きかけることはしません。
根底に、自殺予防電話のボランティア時代に叩き込まれた「今、この時だけ私とあなたはつながる」という一過性で刹那的な時間が自分にとってのカウンセリングには重要だと考えているからです。(もちろん継続することに意味がある心理療法もあります)
昨日で起業して15年。
15年もこのスタンスでカウンセラーをしていると、
「あの方は、今、生きてくれているだろうか」
「あの方は捕まっていないだろうか」
「あの方は殺人を犯していないだろうか」
とふと思い出す人が大勢います。
インベさんの個展で思い出した、恋人の中から別人格が出てきたあの方は、あれからどうしているだろうか・・・
別人格がたくらんでいたことを実行にうつされてはいないだろうか・・・
解離性同一性障害を診察できる良き医師と繋がれていることを祈っています。

↑
右下は神田なのでカレーを食べた写真。ルウが写ってないですがww
インベさんの今回の個展は終了していますが、インベさんは個展の他にも大変興味深い書籍もたくさん出されていますので、心理学、特にいわゆるマイノリティとされる方の心理に興味がある方は、ぜひ興味を持たれた書籍を読まれてみることをおすすめいたします。
4月1日を越え、フリーランスで活動を始めて15年目に入りました。
これからもひとつひとつのお話を真摯に向き合う姿勢を大切にしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・
カウンセラー 小日向るり子
エキサイトお悩み相談室でも待機しております。よろしくお願いいたします。
8月に初の書籍を刊行いたしました。
「何でもまわりのせいにする人たち」フォレスト出版
全国書店・Amazonなどのwebにて発売中です
Kindel版でも出ています


