2021年10月20日の、鹿児島市要約筆記者養成講座で、NPO法人ルネスかごしま代表たにかつこと谷川勝彦が「対人援助」(カウンセリングの基礎理論、対人援助の基礎理論)について、研修、講話をさせていただきました。
当日使用した資料を転載しますので、何かのお役に立てばうれしいです。
なお、このような『伴走型支援』や『傾聴』について学ぶ講座は、ルネスかごしまの主催で定期的に、 鹿児島市>> と 鹿屋市>> でも開催しています。(無料)
・単回のみや、時間途中からの受講もまったく問題ありません。
・プロやプロを目指す方だけでなく、どなたでも受講できる内容です。
・受講したからといって、ルネスかごしまの活動に関わることを強制されるといったことも、まったくありません。
・受講後に何かの契約や販売もいたしません。
関心をお持ちの方は、ぜひ気軽にご受講くださいませ。
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2021年10月20日
特定非営利活動法人ルネスかごしま 谷川勝彦
「第13講 対人援助」
(カウンセリングの基礎理論、対人援助の基礎理論)
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とにかく「傾聴」だよ
「なんのために傾聴をするのか」
→相手に信頼してもらう・信頼関係を築くため
傾聴とは
「やること」
・黙って聴く
・うなずく、あいづちをうつ
・おうむ返しをする
・黙って聴く
→「私はあなたの話を貴重なものとして聴かせていただきます」という態度を明確にする。
・うなずく、あいづちをうつ
→「私はあなたの話をちゃんと聴いています」ということを、相手に伝える
*相手にとってうるさくないように、思考のさまたげとならないように
*こちらが聴いているということが、相手にしっかりと伝わるように
・おうむ返しをする
→「あなたのお話の中で、大切なのはここですね」という確認
私はあなたの話をちゃんと聴いていますよ、だって、主訴をつかんでますもの
*支援対象者(クライアント)にとっては、自分の発言をこちら(カウンセラー)の声として、外部から再び聴くことになる(繰り返しによる再確認)→「ああ、自分はこういうことを思っているんだな」
「できればやらない」
・質問
・助言
・自分の話(経験・意見)
なぜ「やらない」のか?
・質問
質問の危険性について(聞かれたくないこと、答えたくないこと)
・助言
助言が持つ「上から目線」
相手の状態を否定する態度
今の状況を変えたいかどうかという判断は、こちらがするのではなく相手がすることである
・自分の話
人は、自分の話に酔いやすいことを自覚する
経験はあてにならない
「〇〇さんならどうしますか?」と聞かれたら
基本的には「答えない」
→例としては「どうするのがいいですかねえ」「うーん、むずかしいですねえ」
なぜ、答えてはいけないのか
・自己決定に影響を与えてしまう
・「あの人が言ったからそうしたのに」といった他責の材料を与えてしまう
・「次も困ったらあの人に聴こう」→依存、自己判断の放棄
信頼関係と依存の表裏一体性を意識する
支援の入り口が「傾聴」による信頼関係の構築であるとすれば、支援の出口はどこだろう?
自転車のたとえ
「この人は自分のことを理解してくれるから、毎回この人に頼もう」は、支援者として本当にいいことなのか?
依存の逆の状態とは?
自立(自律)とは?
本当の意味での「信頼(人を信じ、頼ること)」ってどういう状態だろう?
カール・ロジャースの「3原則」
〇共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。
〇無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。
〇自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
「専門性を持ちながら、同時にまた、ひとりの人としてクライアントの前に立つ(存する)」
マズローの5段階欲求から「支援」を考える
基本的には、下位の欲求が満たされないと、上位の欲求は生まれない
「人は、満たされて初めて、人を思いやることができる」
→「どうしてこの人は、自分の望むとおりに動いてくれないんだろう」
→自分の中の支配欲を見つめつつ
→「まだ、この人は満たされていないのかもしれない」という視点