世の中、「腹立たしい」と感じることは、たくさんあるものです。
絶え間ないストレスに苛まれ続ける現代人であれば、なおのことでしょう。
そんな思いを文章にして、WEBにぶつけている人々がいます。

気持ちは分かりますが、よく見ればそれが「腹ただしい」だったりすることがあります。
漢字にすれば「腹正しい」です。
「腹黒い」の反対で、心の中まで誠実な人間のことでしょうか。
素晴らしいじゃありませんか。
一転して「誉め言葉」になってしまいました。

…というわけもなく、無論これは「腹立たしい(はらだたしい)」の間違いです。
「た」と「だ」が入れ替わった替誤科の誤字等となりますが、文字そのものではなく、濁点の付く位置だけが入れ替わったと見ることもできます。

発音上、「はらだたしい」と「はらただしい」を明確に区別することは難しいのかもしれません。
一語ずつはっきりと発音せずに、「はらたたしい」と言ってしまっても、大抵の場面では通用することでしょう。
そのあたりから、知識を「あいまい」なままにしてしまう人が出現するものと思われます。

が、文字になると話は別です。
「はらただしい」を一度でも変換してみれば、「腹正しい」という結果が見えるはずです。
あるいは、「原正しい」となるかもしれません。

こういった変換に疑問を持たないような不思議な人も中にはいるようです。
であれば、言うべきことは何もありません。
そうではない、一般的な言語感覚の持ち主であれば、「?」と思うことでしょう。
その時点で自分の知識を疑ってみることさえできれば、「腹立たしい」という正解にたどり着くことができます。
反対に、「自分は正しい。間違っているのはかな漢字変換プログラムの方だ」などと考えてしまう人は、「正しい」の部分を「ただしい」と平仮名書きすることで「良し」としてしまうことでしょう。
いえ、「腹ただしい」を使う人が全員そうだというわけではありませんが。

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