満月の1日前

 
既に真円の如く

昨夜の嵐は嘘のように



月明かりに照らされて
浮かび上がる景色が好き


太陽の明るさにキラキラする世界も
雨に霞み滲んだ世界も
新月の星が瞬くのみの暗闇の世界も

みんな好き


だけど
暗い中の
月明かりに照らされて見える世界は

異次元のようで…

時間と時間の隙間に迷い込んだようで…



ここではない何処かへ
誘われていくような感覚を覚え

そのまま進んでしまいたくなる







小さい頃
家の中の
1つの扉が
私にとっては異次元の入口だった

和室側からは襖の柄で
廊下からは板目の柄で

それぞれの方向から見ると
子どもの私には別モノで
裏表で繋がる扉とは思えなくて…

廊下側から開けると普通の和室の眺望

だけど

和室側から開けると
深く螺旋階段が続く異次元の扉

そう思っていた

怖くて開けられないのに
その先は見えてて

螺旋階段だと思っていた


そのイメージがまだ残っていて
不思議と怖さは消えていて…

その扉の先に

螺旋階段の続きの風景に

月明かりに照らされて浮かび上がる景色が

繋がっていく…




満月前夜だと
見上げた空に

ほんの僅かな時間だったのに

幼い頃の感覚を思い出し
壮大な時間旅行をしていた



車から降りて
ほんの僅かな時間だったのに…