私が起きるのは、大体9時か10時。
世の中は既に動いている。
まだ体が起きていない状態で
下の洗面室に行く。
さっと歯を磨き、顔を洗う。
たまった洗濯物を洗濯機に入れ
ボタンを押し、回す。
夫は既に起きており
食事の用意に余念がない。
私が「おはよ」と言うと
「うん」と返す。
夫は私と違い早起き。
夏は5時に起きている。
冬でも6時には起きている。
春夏は庭先に作った畑を朝一番にいじることを日課にしている。
その後、食事づくりに精を出す。
朝からせっせと働く。
夫は定年退職後、腎不全になり
その後人工透析を余儀なくされた。
月水金の週3回人工透析で
病院に通っている。
透析の日は、食事は夕食分まで作る。
私の起きるのを待って、夫は食事を整える。
私はテーブルをセットし
器に盛られた料理をテーブルに並べる。
料理は結婚当初から夫の担当だ。
精力的に仕事をしてきた私は
結婚には興味がなかった。
ひょんなことから結婚してしまった。
生意気な私は、家庭でも男女平等を掲げた。
夫は家事は男も女もない。
生活するには家事は必要な技術と
私が提案する家事分担をすんなり受け入れた。
羅列した家事項目をみて
間髪を入れず料理を選んだ。
その代わり、他の家事はしないと言った。
掃除好きで、料理の苦手な私はそれを受け入れた。
夫は病気がちの母のために、小学2年から
買い物かごをさげ買い物をし
食事の用意をしたという。
そのせいか、ある材料で手際よく
手早く料理をする。
大して凝ったものは作らないけど
彼が作るカレーとマリネは絶品だ。
カレーは市販のルーは使わない。
玉ねぎをじっくり炒め、
何種類かのスパイスを入れる。
できたカレーは市販特有の雑味がなく
すっきりとした味だ。
マリネにいたっては、酢の加減が絶妙で
酸っぱいものの苦手な私でも
酢で柔らかくなった肉や魚とともに
箸が進む。
夫が作った料理で食事を終えると
私は、しばらくくつろいだ後
食器をさげ、洗い桶に浸し
洗濯物を干す。
それが終わるとコーヒーを沸かし
コーヒーを飲みながらまたくつろぐ。
一方夫はパソコンを、自分で作成した食事管理表にいま食べた食事の内容を入力し、成分管理を行っている。
それが終わると、シャワーを浴び
人工透析に出掛ける準備をする。
昼近くになり、出掛ける。
夫が出掛けた後、私は食器を洗い
レンジ回りやシンクを磨く。
その後、洗面台を磨き
お風呂を掃除する。
水回りはほっておくと、
とんでもないことになるので、
努めて毎日手入れをしている。
それらが終わると、
サッと全室に掃除機を当てる。
それらが終わると、もう午後3時。
テレビを観て、しばらくくつろぐ。
そうするうちに夫が透析から帰ってくる。
ヘトヘトになってなだれ込むように
玄関にたどり着く。
しばらく横になって休む。
透析するとは大変なことだと実感する。
朝用意した食事をテーブルに出し
サッサと食べ、2階にある寝室に向かい
寝込む。
少しよくなるとテレビを観ているようだけど
いつの間にか、テレビをつけたまま眠っている。その時間午後8時。これなら朝5時に起きられる。
夫が寝ている間、私は食事を済ませ
食器を洗い、レンジやキッチン回りを掃除する。
いまはしないが、ぬか漬けを作っていた時は
いつもこの時にぬか床を回していた。
それを終えると、書斎にあるパソコンをあけ
メールをチェックし、しばしネットサーフィンを楽しみ、その後、ネットでインストールした家計簿ソフトにレシートなど、使った経費を入力する。それが終わればパソコンを閉じる。
これからが私のくつろぎタイムとばかり
録画した番組を観まくる。
気がつくと時計は12時をとっくに過ぎている。
急いでお風呂に向かい、シャワーを浴びる。
浴槽にお湯を張って入ることは滅多になくなった。浴槽にお湯を張ると、あとで洗るのが面倒。シャワーが多いのは、それだけの理由。
それでも、寒く、温まりたい時は湯船にお湯を張り、ゆっくりおふろタイムを楽しむ。
湯から上がり、しばしテレビを観ながらくつろいでいると、時計は早午前2時を指している。
戸締まりを確認して、いそいそと夫が眠る寝室に入り、並べた布団に滑り込む。
午前2時に寝れば、朝早くは起きられない。
私たち夫婦は、それぞれ違うルーティンで暮らしている。
いまのところ、それには二人とも何の不満もない。
強いて言えば、夫からもう少しだけ早く起きたらと言われたこと。
私も、それには同感だが、一度できたルーティンはなかなか変えられない。
こんな感じ、私たち夫婦は毎日を暮らしている。
2章につづく。