夕食後、隣の人にもらった
草餅を食べた。

草餅は、餅のまわりに
きなこをまぶしたシンプルなもので
形はいびつで
それがいかにもおばあさんが
握った感じで、微笑ましく思った。

さっそく
一口で、口にほうばると
よもぎの香りが口の隅々まで広がった。
砂糖やアンコなど甘い味付けなど
一切ない。

この香りには
甘さは邪道だ。邪魔になる。

口の中で餅が転がって行くうちに
時折、ふぁっとした苦味が走る。
苦味が香りを複雑にし
深みを増している。

隣の人は、懐かしい味と言ったが
私には、初めて感じた
香りと深みのハーモニーだった。

手間をかけて、時間をかけて
そして愛情をかけた傑作❗

久し振りに
ほんものの味に出会った。