ガンを発症して、13年。
その間11回再発した。
そのために、入院を繰り返し
入院生活も長くなってきた。
いつもの病院に入院し
同じ病棟の同じ病室に入ることも多く
医師や看護師さん、看護助手さんなどが
おなじみさんになっていた。
お馴染みさんとはいえ
和気相合とはいかない。
私は病気になって
治療にきたのだ。
痛い❗苦しい❗の連続だ。
毎日がそれとの戦いだった。
そんな時は「カラダを感じて、カラダにきく」
なんて流暢なことは言っておられない。
気がつけば、体を見つめることなど
すっかり忘れていた。
しかしながら
体の感覚は、症状がよくなり
少し心に余裕ができるようになると
次第に体に目を向けるようになった。
元々、私は体を感じるのが好きなのだ。
ふと、誰かと繋がりたくなった。
隣には、検温にやってきた看護師さんがいた。
どこかお疲れのようだ。
私は、「ねぇ、ちょっと手を触っていい?」と
尋ねた。
彼女は突然の私の要請に驚き
それでも、おどおどしながらも
手を差し出してくれた。
彼女の手は緊張でコチコチだった。
そりゃそうだろう。
看護師は触ることはあっても
触られるシチュエーションは
そうないことだろう。
しかもいまは勤務中だ。
私は、そっと彼女の手を両手で包み
彼女の手を感じた。
そうすると
次第に彼女の手の感触が柔らかくなり
彼女は目を閉じていた。
「なんか眠くなっちゃった」と
お茶目な表情をした。
「あら❗手が温かくなった」
とも言ってくれた。
私は内心、シメシメなんて
ちょっと得意な気持ちになっていた。
ついでに、仲良くなった隣のベッドの人に
同様に試みることにした。
彼女はとてもおおらかな人で
「リラックスして」と言うと
瞬時に、手の力が抜けていた。
「すごい❗」と思った。
こんなにも切り替えの速い人もいるんだなあと
以前、施術したタイマッサージの人のことを
思い出した。それ以来のことだ。
リラックスした手を触るのは
ほんとうに気持ちいい。
こちらの方が眠くなるくらいだ。
そんな気分に浸っていると
突然彼女が叫んだ。
「治った❗❗」
聞くと、ずっと以前から肘が痛く
接骨院に通ったものの
ナカナカ治らないでいたと。
ところが、私がちょっと触っただけなのに
一瞬のうちに、痛みが消えたと言うのだ。
「えっ❗」と私は大きく叫んだ。
「だって、ほんとだもの。ぜんぜん痛くない」
きっと彼女の優れた感覚が
私のちょっとした誘導で
スイッチが入り、自分自身で
体が整ったのだ。
改めて、すごいな❗と思った。
翌日、彼女の旦那さんが
お見舞いに来た。
その時、彼女が
「ちよっとでいいから
主人の腕をみてくれない?」と言う。
どうも、昨日のことをご主人に
言ったらしく
ご主人も、ずいぶん前から
腕の関節の痛みが続いているらしく
彼女が昨日経験したように
ご主人にも瞬時に治してもらおうと
思ったようだ。
私が治したのでない。
あなたが自分で整えたのだけなのにと
言ったはずなのに。
ご主人の腕を触った。
岩のように硬かった。
力を抜いて、ご主人を感じようとした。
だが、ご主人の強ばりはナカナカ消えない。
きっと、長期に渡って
腕を酷使してきたのだろう。
整えるには、少し時間が必要だと思った。
酷使したいきさつにも何か
いろんな要素が絡んでいるようにも感じた。
ご主人の痛みは消えなかったが
「少し、腕が楽になりました」と
言ってもらったことが
せめてもの救いだった。
私もちょっと調子に乗りましたね。
反省です🙇