私は、父がむいてくれるりんごを
食べるのが好きだった。
父はとても器用な人で、薄く皮をむき
途中で切れることなく
すいすいとむいた。
それをホイと言って、私に差し出してくれた。
美味しそうに食べる私の顔をみて
父は、目を細めた。
不器用な私は、厚く皮をむき、
皮は何度も途切れる。
りんごの皮をむくたびに、
私は誰に似たのかなあと思う。
父ではないことは確かなようだ。