摂食障害って言葉、聞かれたこともある方が多いと思います。
過食症だとか拒食症とか言われることも多いですが、ざっくりいうとほとんど食事を口にしない(低カロリーなものしか食べない)、もしくは大量に食べては吐く、といった行動をとる病態です。
実は大量に食べて吐かない、という病態もあるのですが、今回は一旦置いておきます。
治療を頑張られている方、頑張られていた方もいらっしゃると思います。
私は医療者、看護師の視点で書くので、辛かった治療を思い出したくない方は、読むのを避けて下さい。
私は病棟で働いていたので
入院適応となるような摂食障害の患者さんは、命の危機があると判断されるほど栄養状態が悪い、痩せてしまっている状態の方がほとんどでした。
ですので、日常生活で出会うことがもしかしたらほとんどないレベルの重症例が多かったように思います。
体重で言うと身長差もあるので一概には伝えづらいですが、成人女性で20kg台後半、BMIでいうと11という方もいました。
本当に骨と皮の状態です。
そのくらいのレベルになると、自分で動くことも殆どできない、布団に横になっていても骨が出ているのですぐに痛みを訴えられ、頻回に体の向きをかえる必要があります。
基本的に、重症例のスタート治療はまずはカロリーを入れることから始まります。
経管栄養という管から栄養を入れられることが多いです。
そのくらい弱っていても、カロリーを入れられることに恐怖を感じ、管を自分で抜いてしまおうとする患者さんも珍しくないので、急性期には身体拘束が必要とされるケースもありました。
ただ、長期間、飢餓状態だった患者さんに、急激に栄養補給をするとリフィーディング症候群という病態を引き起こすため、すこーしずつ栄養を増やしていきます。
体重増加、という目標までは実は結構時間がかかるのです。
※リフィーディング症候群
慢性的な栄養失調状態の方に急に栄養補給をすると心不全、呼吸不全、肝機能障害などを引き起こし、命を落とすリスクもあります。
摂食障害だけじゃなくて、長期間の高齢者のるい痩なども注意が必要です。
代謝性の疾患なので、頻回に採血で様子を見られます。
摂食障害の患者さんは異常な痩せへの固執やボディーイメージが歪んでいます。
ガリガリの体を鏡で見ても、太っているように見えるのです。
このボディーイメージの歪みは、ある程度無理やり体重を増やしていくことで緩和されるそうです。
ということは半ば無理矢理ですが体重を増やしていくほかありません。
摂食障害の患者さんには身体症状だけでも色んな症状がでます。
疲れやすかったり、寒がりだったり。
真夏でも着込んでいる方も少なくありません。
吐くので虫歯になりやすいです。
痩せすぎにより月経がとまることもあります。
栄養状態が悪く、代謝異常、電解質異常なども引き起こすので
骨粗鬆症や低血糖、不整脈、脳の萎縮など様々な異常がおこります。
髪の毛が抜けちゃう人も多いです。
摂食障害は自殺企図率も高いですが、摂食障害が原因で無くなる方も多いです。
身体危機を脱した患者さんは、経口摂取へと移っていきます。