総合病院の精神科では、単科の精神科では入院を受け入れる事が出来ない、身体疾患を合併している患者さんを受け入れる事が多かったと以前お話しました。


透析を受けている患者さんはその最たる一つで、


透析を受けることが出来る精神科病院なんてものは希少で、基本的に恐ろしいほどの順番待ちが発生しています。


そのため、総合病院では、緊急の精神科治療が必要な患者さんは受け入れの優先度が高くなっていました。


精神的な興奮や、幻覚妄想状態は安全に透析治療を受けることを妨げ、透析治療を受けることが出来ない=命に直結する問題だからです。



とはいえ、透析室は精神科以外の患者さんも利用しますし、透析室のスタッフは精神疾患に慣れていないこと、透析自体が暴れてしまうと危険を伴うことから


暴れる患者さんは、頓服薬を追加したり身体拘束を実施しながら透析室に連れて行かざるをえませんでした。



週3回、透析室に連れていくのも骨が折れますし

不穏の患者さんの体重を測るのも大変でした。

そんな患者さんに対して一回3、4時間の透析管理を安全に気を付けながら行う透析室のスタッフさんの苦労もいつも感じていました。



ただ、不穏の患者さんというのは

精神科病棟でも落ち着くまではある程度の行動制限が行われており、病棟での管理という点では比較的やりやすかったと思います。



透析治療の患者さんは、1日の飲水量の制限が厳しく

自尿が出るか出ないかでも制限が変わりますが

ほとんど自尿が出ない方で1日800ml程度に制限されていることが多かったです。

もう少し少ない方もいます。


これは、お薬を飲む水や、食事の時に飲むお茶も含まれます。


身体疾患がある患者さんは内服薬も多いことが多く、内服には多めの水分を必要とする方が多くおり、そう考えると、内服と食事以外に取れる水分はそんなにありません。


統合失調症などで人格水準の低下のある患者さんは、

こういった制限を我慢できない事が多く

制限がとても難しい。


飲水を制限することで怒ったり暴れたりする患者さんもいました。


水道水などを目を盗んで飲んでいる患者さんもいました。



勝手にお水を飲まれると、透析のときに信じられないくらい体重が増えており、透析室のスタッフに私達がよく怒られたものです。


そうなると透析で除水しきれず、本人もきついという悪循環を繰り返すんですが


喉が渇いたというその場の感情で水を飲んでしまうので、結局繰り返してしまい

度を越すと命に関わるため行動制限をせざるをえなくなるというもっと悪循環を繰り返します。


患者さんもつらい思いをするし、

スタッフも困ることが多い透析なんですが

精神疾患の患者さんには

透析患者さんは、決して珍しくありません。



というのも肌感覚でいうと

精神科で透析が必要な患者さんは

腎臓疾患により必要になった方というより

糖尿病からくる糖尿病性腎症の方がほとんどでした。



そして、原因の糖尿病の患者さんはとても多いのです。




精神科の患者さんの糖尿病については次回に書きます。