子どもの入院患者の中には
友達もそこそこいる
先生の評価もいい
いじめられてるわけではない
自宅でも
ご両親から見ると
いつも明るく、父親とも母親とも
関係良好
なのに、
学校にいけなくなった
ご飯が食べられなくなった
はたまた
強迫行為が出てきた
不適切な行動(リストカットなど)
がある、ということで入院してくる子どもがいました。
小学生高学年や中学生くらいの子が多い印象があります。
こういう場合の子どもは
入院して
看護師にも丁寧、笑顔で対応する
不満なんて全く言わない
でも自室ベッドのカーテンからは滅多に出てこない事がよくあります。
過剰適応を疑います。
簡単に言うと周囲に求められている役割や周囲の価値観を優先し、行動する。
本人が自覚なく実施している状態です。
周囲の期待や求められる役割、価値観を優先するあまり、無理をしすぎている状態です。
つまり、最初に書いた、
周囲から見るとなんの問題も無いようにに見える内容は、本人の必要以上の努力や無理の上に成り立っているものなのです。
その無理がたたって、
心のバランスが崩れてしまっている状態なのです。
周囲の人からは見つけにくい、
わかりにくい状態かもしれませんが、
そもそも、医療者が聴取する
学校での態度は先生の評価
自宅での態度は家族の評価
なわけです。
すべてが良好、文句の付け所がないというのは
先生、両親の価値観に沿えている状態なわけで、
子どもが無意識に頑張っているという理解は必要です。
どうしたら怒られないか、どうしたら褒められるか、と頑張っている証拠なのです。
だって全部同じ価値観なんてありえないですよね。
子どもも意見をちゃんと言いますよ、という人もいますが、
もし過剰適応に陥っている子どもの場合、
求められている役割の中でしか発言が出来ません。
絶対にアウトだとわかっている内容は、思っていても言わないのです。
その中で求められているキャラでセーフな発言はするんです。
意見を言っているようで言えていない状態です。
両親と同時に子どもに話を聞いた時に、
親の顔色を見ながら発言する姿も多く見ます。
単体で話を聞いても、
マイナスになりそうな話はしないのです。
もちろん、すべての子どもが多少は褒められたい、怒られたくない、と思い行動していますので、すべての子どもが過剰適応とはいいません。
でも、自分の本来のキャパを超えてまで頑張りすぎている、自分の心のバランスを無視してまで頑張りすぎている、という場合は注意が必要です。
いい子、は本当にいい子なのか
本当はいい子でいるために頑張りすぎてるのではないでしょうか
周囲の価値観の中でのいい子、でいることを求めすぎていませんか
いい子でいない子どもには、価値がないと思わせる話をしていませんか
(他のできない子どもをけなす、受け入れれないという話をする、過程を評価せずいい結果のときだけを褒めるなど)
〇〇は手がかからないから、心配いらないからなど
今の状態が当然だという雰囲気になっていませんか。
入院するほど心のバランスが崩れてしまう子どもの
何倍も、無理をしながら心の軋みを感じている子どもがいると思っています。
そんな視点を持ってもらえる大人が増えると
無理をしすぎる子どもをもう少し早く
救えるのではないか、
そもそもそこまで無理をしすぎなくてもすむのではないかと思うわけです。