ストレス発散方法としての自傷行為があると以前書きました。
リストカットとか、大量服薬とか、首を絞める、壁に頭を打ち付ける、過食嘔吐、などなど人により方法は様々です。
ただ、一様に言えるのは身体的な健康を考えると不適切な方法だと言わざるをえません。
そういった自傷行為でストレスを発散する方法を行う人は、よくよく聴取するとちゃんと他の方法でもストレス発散を行うことが出来ている事が多々あります。
しかし、
それをストレス発散と認識していない場合
思っているよりストレス発散効果がないと感じている場合があります。
自傷行為が自分の中でストレス発散を行うのに一番効果があると思っているため、結局その行為を繰り返してしまうのです。
そのため、辞めたいと思っていても辞められない。
その状態が続いてしまうと、もはやストレスが貯まるのが先か、自傷行為が先かわからない、依存症のような病態に変化していると思う人もいます。
依存症のような病態になる前に介入していきたいところで、一つの介入方法を紹介します。
本人も整理できていない方法を整理し、
度合いを可視化してあげるという方法です。
代替方法を一緒に考えたり、提案したりもよくしますが、その方法がどのくらい効果があったかどうかもきけると、次の提案の指標にもなります。
自傷行為も、リストカットは何%効果がある、過食はどのくらい、など複数種類行う人もいるので、位置づけ把握にもなります。
(%じゃなくても1から10段階とか書きやすいものでいいと思います。)
聴取の中で無意識に行ってる趣味とか、日常のルーティンを行ってるときにどのくらい気分転換になるか、嫌なことを忘れられるか、はたまたストレスが増強するか等も合わせてきけるといいかもしれません。
位置づけという役割だけではなく、無意識に行っていたものなども今後手段の一つとして装備することが出来るよう、可視化をお手伝いしていきます。
手段の選択肢が思っていたより多くあったと認識することも大事なことです。
上手く可視化できたら
その中で、
下位のストレス発散方法で大丈夫な時に、ストレス発散を始めること(自傷行為が必要になるほど我慢しないということ)を確認する
このくらいのストレスの時に、これを始めようなどお互いに確認する
(出来れば本人主体で考える)
一番危険な自傷行為から、次点のものに振り替えれるよう指導する
(次点が自傷行為だとしても、身体への影響度が低い方法ならば一旦そっちに転換し、クリアできればまた次点というのを繰り返す)
などの方法を取ります。
もちろん、1度では上手く行きませんし、長期的になることを想定します。
出来なくても責めてはいけないし、出来たことだけ評価します。
出来ていても、突発的な衝動行為で戻ってしまうこともありますが、離れることが出来た時間が長くなっていることを伝えます。
この方法の利点はもう一つあり、
その患者さんの行動からストレス度合いをアセスメントできる指標にもなることです。
細かい情報収集を不調な患者さん相手に短縮できること、本人の評価が良い介入を選びやすくなります。
ご家族さんが患者さんと向き合うのにも参考になる場合もあるようです。
患者さんの性格で向き不向きはあるので、一つの手段としてご紹介しました。