電気けいれん療法にも副作用はもちろんあります。


治療ですので、死亡や重篤例は0ではありません。

5万から10万に一度ほどだそうです。

幸いなことに、私は10年近い精神科経験の中で、死亡例や重症例に出会うことはありませんでした。



私が臨床経験としてよく出会っていた副作用は

頭痛、発熱、健忘、吐き気、顔面紅潮などです。


顔面紅潮は治療後数時間で消えることがほとんどでした。

頭痛は治療後生じることもあり、鎮痛剤で対応することがほとんどで、鎮痛剤で落ち着くことがほとんどでした。


吐き気に関しては、麻酔の副作用という側面も多く、吐き気止めの漢方薬などで対応しており、嘔吐までする方はほとんど居ませんでした。

また、その後の食事も取れる方が多かったです。


発熱は、治療後すぐに出る方と、午前中に治療をした後、午後に発熱が起こるという方が時折ありました。

自覚症状は無く微熱の方から、寒気を感じ38度以上の熱が出る方もいました。

次の日には下がる方が多かったです。


健忘は、直後に少しだけ起こる方や、しばらく続く方もいました。

しばらく続く方は、どうしても治療を続けているうちは改善しない方が多かったですが、健忘自体は前述の副作用よりは少ない出現率でした。

治療がすべて終わって徐々に思い出していく方が多かったです。



また、精神科のお薬が、この治療において効果を判定し辛くするものや、けいれんを起こしにくくしてしまうもの、逆に起こしすぎてしまうものなどが多くあり、大体が治療前に、飲んでいる薬の中でこれらに当てはまるものが一旦減量、中止されます。


そのため、治療前に症状が一度悪化してしまうということがよくあるのです。



また、この治療は再発しやすいです。

そもそもがとても緊急性のあるものに適応があるなど即効性はあるのですが、持続性は比較的低いため、治療後に内服治療の継続が不可欠です。


とはいえ、持続性は人それぞれで(内服の継続状況や、ライフステージのストレスなども重なり悪くなる人もいる)

一年未満しか維持できない方や、複数年単位で維持できる方などそれぞれでした。



そういう欠点を補うために再発しやすい人や、再発したときにECTしか効かない人に対して、数ヶ月に一度(1クールではなく1度)だけ電気けいれん療法をする、という維持ECTを実施している施設もあるようです。





副作用が辛い方もいますが、少なくとも重症例には治療効果があるため、希望されるご家族、患者さんも多くいらっしゃいました。


もし、医師などから提案された際には、内服薬での症状改善に頭打ちが見られている事も多く、試してみる価値はある治療法ではあると思います。

もちろん個人の意見です。

未知の治療だと、不安もあると思いますのでしっかり説明も聞いてくださいね。

(聞きすぎると不安が強くなる方は、一旦ご家族に代わりに聞いて頂き、治療をする場合には数回実施し少し落ち着いてから再度説明を聞くようにしてくださいね)