床ずれ、医療用語では褥瘡と言います。
前半は褥瘡の説明を簡単にしていますので、医療者の方などは飛ばしてください。
高齢者の寝たきりの方などにできやすいというイメージはあると思います。
ある部分に体重などで圧がかかり続け、血流が阻害されたり滞ることなどで生じます。
だいたい最初は発赤(皮膚が赤くなる)ことから始まります。
赤くなったところを指で数秒押してみて、離したときに白くならなければそれは褥瘡です。
そのまま圧迫が続けば、水疱になったり、皮膚が剥がれたりしていき、酷い方になると患部がぽっかり穴が空いたような深さのある褥瘡になります。
もちろん、皮膚に圧がかかり続けることで生じるので、定期的に除圧をしてあげると防ぐことが出来ます。
褥瘡を起こしやすい要因は
・栄養状態が悪い
・高齢で皮膚が脆弱になっている
・おむつなどをはいていて、皮膚が湿潤している
他にも、疾患により痛みを感じにくいとか、免疫が落ちているなども原因になりえます。
だからたとえば、おむつで足の付根の同じとこばかり圧がかかってるとか、床やベッドマット以外のものによる圧迫でも起きます。
圧がかからなければ起きないので、寝たきりでも自分で身体の向きを変えることができ、頻繁に自分で身体の向きを変える人などはリスクが減ります。
寝たきりでも、骨が出ている部分は圧がかかりやすく、踝とか、踵、仙骨部、肩甲骨、後頭部などといえばイメージし易いかと想います。
あとは服のボタンなど硬いものを体の下に引いてしまっていたとかでも生じます。
しかし、
精神科で働いていると、私達の想定外の場所に褥瘡を作ってやってくる方がいます。
栄養状態も悪くないどころか肌はつやがある、高齢者でもなく、おむつも履いてない。
ぱっと見、褥瘡なんてできそうにないように見える。
その上、
骨突出部でもない部分、例えばおしりの一番脂肪がある部分とか、到底圧がかかり続けると思えない手の指とかに褥瘡がある人もいます。
そういう方たちは、ほとんどが、疾患は違えど、精神症状により一時的に寝たきり、全く動けなくなっていたという背景があります。
こういう方は、その間、寝たきりの高齢者の方の比じゃないくらいまったく動きません。
ほんとに微動だにしない方も多いです。
数日前まで多少なりとも動いていた方たちなので、ご家族も褥瘡のリスクということが頭にはないことが多く、
しばらく動かないので、ということで病院に連れてきましたということが多いです。
褥瘡も看護師に言われて始めて気付かれます。
指とかで無い限り、大抵が洋服に隠れている部分だからです。
穴が開いているようなレベルの褥瘡を作られている方も少数ですが出会ってきました。
ただ、赤くなっている程度ならばすぐに治りますが、穴が開くレベルになると、数ヶ月の治療期間を要します。もっとかかる方ももちろんいます。
精神症状が悪化しているときには痛みなどにも鈍くなっていることが多いですが、症状が回復したあとは痛みとも戦わなければならなくなります。
そういうわけで、
もしもご家族が精神症状の悪化などで動きが鈍くなってしまった際には食事や排泄も気にはなると思いますし、大変ではあると思いますが、身体の向き、位置が変わっているかも気にして見てもらえると嬉しいです。
かわっていなければ、変えてもらえると、それだけで酷い褥瘡を予防することが出来るのです。