入院した患者さんのご家族とお話をすると、ご家族の理解がなかなか足りてないと思う患者さんも沢山います。
ただ、その理解が足りていないところは様々で、
特に患者さんの予後が悪いと感じるご家族についてお話します。
(ここで言う予後とは、人格水準の低下が進む、社会復帰が難しくなる、ということを示します。)
まずは、そもそも精神科に受診させたくない、入院させたくないというご家族です。
精神科にそもそも拒否があり、精神症状が出ているにも関わらず病院に連れてこない。
そういうご家族が病院に患者さんを連れてこられるのは、大抵が、手に負えない状態になったから、警察の介入があったから、というところまで行ってからということがほとんどです。
入院したあとの患者さんは家族が受け入れを拒否するか、落ち着いたら早々に家に連れて帰ろうとするかのどちらかです。
また、身体疾患が原因で精神症状を生じたご家族に多いように感じます。
内科や外科のドクターにこのままじゃ対応困難だということを説明されて渋々受診を受け入れた、入院を受け入れたというご家族です。
このタイプはかなりの頻度で、内科や外科の病棟に戻してほしい、いつになったら戻れるんだ、精神科の治療は必要ないと思っている、という旨を精神科スタッフに訴えられます。
そうは言われても…と困ることばかりです。
(内情を話すと、急性期の総合病院では、内科も外科も患者が多く、すぐにベッドがいっぱいになるため、たとえ戻れる精神症状になったとしてもすぐには無理です。)
このタイプも早々に家に連れて帰ろうとします。
全ての治療が不十分な場合が多く、身体疾患引き止める理由に使うこともありますが、難しいことが多いです。
もう一つは困るのは
精神科には連れてくるけれど、提案される治療を全て拒否する家族です。
たとえば
暴れたり、ご飯を拒否したりし、命の危険を感じたから連れてきた、だから落ち着かせてほしい、ご飯を食べるようにしてほしい、とは言うのですが
提案される治療はすべて拒否。
精神科治療は必要ないです、ときっぱり言われます。
落ち着けばいいです、ご飯食べるようになればいいです、と。
でも、それって精神治療必要じゃないですか。
でもそこは拒否されるので、対症療法になる。
じゃあなぜ精神科に連れてきたんだ…と困る事が多いです。
こういったご家族に共通するのは、
治療が不十分な段階で退院を求めてくること
ご家族が精神科を拒否しているので、通院がまちまちになる、途切れるということがあります。
そしたら、当然のごとく再発や症状悪化するんですけど、なぜだか治療内容のせいにされます。
拒否しながら、ご自宅ではもうお手上げということで入院されるんですが、くる度にネガティブキャンペーンを繰り出してきます。
再度病状や治療を説明するも、拒否または、了承されても継続できない。
継続できるよう様々な社会資源を同意を得ていれても、すぐにキャンセルされたりなんてよくあることです。
そうすると、再発させたくない、という記事にも書きましたが、どんどん元通りにはならなくなる。
元に戻らないことにクレームを入れてくる家族もいるのです。
どんなに医療者が寄り添おうとしても寄り添えない家族に振り回され、かなりのスピードで本人が悪くなっていく様子をみると、やるせない気持ちになるものです。
何事にも、ある程度の受け入れようとする姿勢や、理解しようとする姿勢がないご家族には説明も入っていかないことが多く、苦労をします。