精神的なものからくる
身体症状を訴える患者さんは多くいます。
精神的なものだとわかっている人もいれば
わからずにいろんな病院を受診しまくり、検査を受けまくり
病気がわからないことによるうつ状態などで精神科に来ていると思っている人や、
そもそもなぜ精神科に来てるのかわかってない患者さんもいます。
前提として、
身体症状は
身体疾患ではないという除外をした上で、精神的なものからくるものかもしれないと考えなくてはいけません。
ですので、私が働いているときも、他の科と連携を取りながら、身体疾患の除外を行っていました。
他の病院から精神的なものだと思われるので、精神的な治療をお願いしますとお願いされてもです。
なぜなら、本人が訴える症状と全く違う臓器に病気が潜んでいることもあるからです。
わたしたちは、身体に症状を感じたとき、不調だと思われる部位の専門のクリニックないし病院に受診しますよね。
正解なんですけど、そうなると他の部位の検査は難しいことが多いです。
また、たとえ原因の科受診したとしても、大きな病院でしか検査できないことや診断できないものもあります。
逆に、幻覚や妄想などの精神症状が身体疾患から生じることもあるため、身体疾患の除外はそもそも精神科では不可欠です。
一度精神的なものだと断定された場合も、似たような症状が出続ける場合には頻繁に行う必要は全くありませんが、定期的な検査は必要です。
途中で別の身体疾患が発症しても気付かれにくいからです。
身体症状が精神的なものだとわかっている患者さんの場合は、定期的な検査がおろそかになるため注意が必要で
精神的なものだと理解できずにいろんな病院や検査を受けまくる患者さんは、クレーム気質になりがちなので病院から嫌煙されたり、自らこの病院はだめだとどんどん病院を変えるため継続的な治療ができずに危険です。
また、精神的なものだと受け入れることができずにいると、見当違いな治療が行われることになり、症状が良くなるどころか悪化することもよくあります。
そういった患者さんの場合には
どんなに説明しても身体の症状=精神的な問題だとは受け入れがたいものです。
ですので、そういう説明ではなく、身体治療がうまく行かないことによって
うつ状態や不安、焦燥感が出てるから、精神科で気持ちの治療をしましょう、このままだとうつ病などになってしまいますよ、心配です、といった説明を行うことも多いです。
そういった不安は、元々の痛みも助長させてしまう可能性がありますから、そこを治療できれば緩和にもつながるかも、といった説明の仕方もしていました。
もちろん同時に医師と相談しながら原因を探していきましょう、と。
身体疾患がある、と思っている気持ちを否定も肯定もせず、つらい、痛い、などの気持ちにだけ寄り添います。
実際、精神科治療により、効果が出ると、受け入れることができる患者さんや、受け入れることができずとも精神科の治療は続けていただける患者さんは結構います。
精神科は、まずは理解や受け入れができない患者さんも、ひとまず、治療につなげられるような声掛けを考えることも大切です。
ちょっと違う解釈になったとしても、その人にとって精神科治療を受け続けることができる理由になっていれば、途中でやめてしまうよりは幾分ましだとも思っています。
(もちろん、医療者同士や、ご家族ともその方がその解釈で治療を続けることができそうか、との情報共有は必要ですが)