精神科の患者さんは

治療が開始されると、

お薬を飲んでるから症状が安定する、またはお薬を飲んでるから症状が無くなるという状態まで回復するという点を通ります。


そのまましばらく症状が安定していれば、医師の判断で減薬や中断するということもあります。


しかしながら、ここを自己判断で急に減薬や中断してしまい、再発をしてしまう患者さんも大勢います。

また、良くなったと思い無理をしてしまい再発する方もいます。

薬を飲んでいるから、薬が効いているから安定している時期は治っているわけではないわけです。


やはりなかなか、症状に自覚がない中で

薬の必要性を感じ、薬を飲み続けるのは難しいかもしれません。


もちろん、どんな病気でも再発しない、いい状態で維持できるというのはとても大事だと思いますが、

精神科に置いては

基本的に慢性疾患ですので、いかにいい状態を維持できるか、症状が再燃しないかが社会生活を維持していくために大事になってきます。


わかりやすい例でいうと

うつ病の患者さんは、再発すればするほど、その次の再発が起こりやすくなりますし、経験上、再発までも短くなっていく患者さんが多いです。


そうなるとそれだけでも状態の悪い期間がだんだんと長くなっていってしまいます。


その中で、効きにくくなる薬も増えていき、選べる薬も減っていってしまいます。

そうすると改善も乏しくなり、そもそもいい状態まで戻すのが大変になったり、思っていたとこまで戻らなくなっていくのです。



統合失調症の患者さんも

再発を繰り返せば繰り返すほど薬が効きにくくなるため、薬は増えていきます。

それでも、だんだんと幻覚妄想が酷くなっていき、完全には消えなくなっていきます。

幻覚妄想に支配される時間も増えます。


なにより、再発を繰り返すほど、人格水準が低下していきます。

(うつ病などでもおこりますが、経験上、統合失調症で顕著です)


この人格水準の低下は簡単に言うと、これまでできていたことが段々とできなくなっていく状態です。

家事ができなくなったり、

お金の管理や整容を整えることも出来なくなってきます。

(お金をあるだけ使う、ボサボサヨレヨレでも何も思わない)

理解力が落ち、我慢や理性的な思考がとれなくなっていきます。

感情も平坦化したり、無気力になっていきます。

水準が低下してしまうと、人の助けがないと生活ができなくなってしまいます。これは治療では治りません。

(イメージが付きにくい方、詳しく知りたい方はネットなどで「人格水準の低下」で探していただくとドクターがわかりやすく解説してくださっている記事がいくつかあります。私は経験として感じてきた症状なので、ニュアンスがうまく伝えられないことが悔しいです)



何が言いたいかというと、精神疾患が原因で亡くなる方は自ら命を絶ってしまう方以外は少ないです。

つまり、多くの精神疾患は、長く病気と付き合って生きていかなくてはなりません。

その中で、少しでも元気な状態、安定している状態、病気とうまく付き合いながら生活できるというのはとても大事なことです。

そのために、

治療を中断しない、内服を自己調整しない、

そしてなるべく再発をしないようにすることが大切なのです。


患者さんからすれば、医療者の言葉が大げさに慎重に思える事もあるかもしれません。

再発しないようすることがどれだけ大事かということが、医療者が思っているより伝わらない現状がもどかしく思います。