引き続き、安全を確保するについて考えます。

少し強めな表現があるかもしれません。

苦手な方や少しでもトラウマがある方は読まないようお願いします。


興奮状態や、幻覚妄想状態の患者さんです。


興奮状態、というとざっくりしてますが、

例えば入院や処遇に不満、もしくは他の患者さんと揉めてとっても怒っている人も入ります。


こういう方は、怒っているので刺激をしないほうがいいです。

ただ、理性的な部分も残っていることが多いので、

女性に対しては恫喝が多く、男性に対しては暴力的になる方が多いです。

(わかりやすくするために、少し攻撃的なワードを使います。カルテには、恫喝、暴力などの言葉は使わないようにと言われていました。どうやら、医療者の主観的な言葉だからだそうです…言われた言葉そのままとかで書いたり、行動を細かく書いたりしてました)

沢山のスタッフに囲まれててもちゃんと男性看護師を殴るとか、胸ぐら掴むとか。

私もこういうケースよくあってましたが、意外とこういう患者さんに殴られたり胸ぐら掴まれたりとかは無かったです。


大人数で対応すると冷静になられることが多いです。

周囲の患者さんは避難するよう伝え、危なそうなもの(テーブルや椅子とかも)遠ざけます。

そののち、静かな環境で怒りの矛先が人なら接しないようにし、話を聞いていきます。

しばらくすると落ち着かれることが多いと思います。


余談ですが、怒り狂いながら退院させろ!と言う方もいますが、興奮状態の患者さんに退院大丈夫ですよ!なんて言える医療者はいませんので、逆効果です。

怒り狂うほど鬱憤が貯まる前に相談してください…



幻覚妄想状態の患者さんは全く逆です。

もちろん、周囲の患者さんを避難させる、とか危険物を遠ざけるとかは基本なんですけど、

大人数で向かうのは逆効果です。

敵に囲まれてると脅威を周囲に感じることが多いので、少人数で近づき、話しかけるのは一人が望ましいです。

(幻覚妄想状態では、すでにいろんな声や脅威が聞こえたり見えたりしているので、刺激を容易に増やしてはいけないのです)


もちろん、本当の危険に備えて他のスタッフは待機や、準備が必要ではあります。


こういう患者さんには幻覚妄想を落ち着かせる作用のお薬が使われることが多いですが

刺激を減らす事も早急に必要です。


ですので保護室が検討されます。


自分の意志とは関係なく、幻覚妄想に左右されて行動を起こしてしまうので、自分や他者を傷つける可能性だけではなく、関係性も著しく損なう可能性が高く、安全を守る意味だけではなく、その後のその人自身も守る意味があります。


隔離が検討されることもありますが、ドアや壁を殴り続ける、蹴り続ける方もおり、打撲、行き過ぎると骨折のリスクもあるため拘束が検討されることもあります。(他の理由で拘束が検討されることもあります)


隔離の場合

保護室内には必要最小限しか入れません。

ベッドを壊してしまったり、テーブルなどでドアを叩く人もいます。

食事もディスポの食器で来るようにします。

食器を投げて割れると危険ですよね。

トイレの水を扱ってしまう方もいる(飲んだりまき散らす、スイッチを押し続けて水を溢れさすとか)ため、トイレの水を看護師サイドでしか流せなくすることもあります。

看護師も近づくときは最小限の装いでいきます。

ポケットの中身も全部出していきます。

名札やPHSの紐で首を絞められたり、ペン類でさされそうになります。

隔離している部屋に入るときは、背中を向けない、患者さんより入口側にいる。

後ろから攻撃を受けることや、逆隔離にあうことがあります。

隔離の患者さんのところには一人で行かないのが理想です。


拘束の方は体動が激しくなることが多いので、拘束帯が当たっている箇所が擦れやすいです。

また柵などで手足をぶつけ打撲になることがあります。

暴れるからと強めに拘束すると圧迫しすぎることがあり注意が必要です。

定期的な観察、確認が必要です。

長くとも15分から30分おきくらいには必ず確認していました。


もちろんその方に応じて少しずつ対応は変わっていきますので、すべての人にこう、とはいえません。