看護師をしていると、薬を飲みたくない、とよく言われます。
よく言われる言葉なんですけど、場合によっては患者さんの服薬状況をよくするチャンスでもあり
症状をアセスメントする大事な発言でもあります。
どこかの記事で書きましたが、薬の調整、中止は看護師にはできませんので、飲みたくないから飲まなくてもいい、とは言えませんし、困ることの多い発言でもあります。
大事なのは、
なぜ飲みたくないか、ということです。
飲みたくない
という感情を抱くのに、一番多いのは患者さんにとって何かしらの不都合や不快感が生じている事が多いです。
ですが、処方されているということは、その不都合や不快感が医師に伝わっていない、もしくはデメリットをメリットが上回ると思われているから、ということが多い印象です。
どういう場合に飲みたくないと言われ事が多いか、いくつかお伝えします。
まず、
毒を盛られていると感じる、被毒妄想という症状から飲みたくないと言われることや、認知症などで薬を薬と認識出来ないこともあります。
いわゆる、病気の症状によって薬を拒否されることがあります。
こういう場合は、飲まないことにはそもそも症状が落ち着かない、症状が悪化するものになるので、患者さんにわからないよう投与したり、経口ではない方法がとられることが多い印象です。
(もちろん、ご家族に説明し、同意を得ます)
妄想による場合は、投与により症状が落ち着き次第、もう一度内服の説明をし、本人の意志での内服に切り替えることが出来ます。
症状ではない場合は
副作用が気になる、
錠剤が大きいとか、粉薬が苦手など、剤形が合わない
内服タイミングが生活スタイルに合わない
などの薬に伴う不快感が主にあることが多いです。
認知症の方も表出できないだけで、こういう理由があることも多いです。
詳しく聞いて、原因が分かれば、
副作用の少ないお薬に変えてもらう
今すぐには変えられないなら副作用を和らげる薬を一時的に追加してもらう
小さいものに変えてもらう(例えば、10mg1錠より、5mg1錠の方が錠数は増えますが小さくなるので飲み込みやすくなります)
剤形やタイミングを変更してもらう
など、医師や薬剤師に相談し、可能な限りで生活に則して行けると思います。
また、例えば妊娠の予定がある、妊娠がわかったなどで薬を飲みたくない、と言われることもあります。
予め相談ができていれば、胎児に影響が少ない内服に変えてもらっておく、症状に応じてできるだけ減量してもらっておくなどの対応ができます。
ですが、中には急に妊娠がわかり、自分の判断で内服を中断する方もいます。
これは絶対やめたほうがいいです。
急にやめると、離脱のような症状を起こす薬や、症状が急激に悪化することがあるからです。
私も、病棟で、胎児のために薬をやめたはずなのに、症状の悪化により、逆に胎児を危険に晒す患者さんを多く見てきました。
どちらにせよ、必要だと医師が判断しているので処方されている薬です。
なぜ飲みたくないのか、という部分に注目して観察していく必要があります。
患者さんも変更可能なことや対応可能なことも意外と多いので、まずは相談してみてください。