精神科では


家族に精神疾患を理解してもらえない。


配慮してほしいことがあるのに、理解がなく苦しい。


といった悩みを持たれている患者さんが少なくありません。


実際、精神疾患は、目に見えるデータや画像が病気として出てくるものではありません。


そのため、気の持ちようだ、怠けているだけだ、頑張りが足りないんだ、と言われる家族も多くいました。


本人が家族の理解が足りないと感じるご家族は2パターンが比較的多く、


もう一つは、家族もわかってはいるけど、家族にも時間や金銭的に余裕がなく、つい、療養している患者さんに色々憎まれ口を叩いてしまったり、思ってもないことを言ってしまう、というパターンです。


家族の理解、という点で見ると前者が圧倒的に精神疾患への理解が乏しいと言えます。


そういう場合には、医師や看護師からも疾患の説明や、生活上注意していただきたい事などをお伝えさせていただくことがあります。



ですが、結論から言うと、一度や二度では、ご家族が患者さん本人が求めるレベルの配慮を行えるほどの理解を得ることはとても難しいです。


というのも、ご家族は何十年もかけて形成された精神疾患への固定観念を持っています。

もしかしたら根底に精神疾患や、精神医療への不信感も大きいかもしれません。


それを崩していくのには、とても時間がかかるからです。


必要なことは繰り返しの説明や、実際調子を崩した患者さん本人を何度も見たり、体験していくことです。

それでも崩せないご家族も多くいました。


そのくらい途方もない時間がかかる事も珍しくないのです。


ですが、患者さん本人も、医療者が家族に説明をしてくれるということで、家族に理解してもらえるのではないかという期待を抱かれることが多い印象です。

実際、前述したように時間がかかるものですので、説明があったあと、思っていたよりはるかに家族が変わっていないことに失望してしまいます。


ですので、患者さん本人にも、家族に期待しすぎないようにしていただかなければならず、医療者も必要以上に期待を煽ってはいけないと思います。


時間をかけて理解をしてもらう、というスタンスがどうしても必要です。