前回の記事でも少し出てきましたが、今回は目標設定です。

精神看護的な目標設定の方法のひとつをお伝えします。



本人にあった目標を立てることがもちろん大事なんですが、精神科ではよく、現実的ではない高めの目標設定をする方がいます。



一つは、自分に厳しい、ストイックな方、周囲の期待が高い、自分の元々のレベル(能力が下がった現状を受け入れがたい)に合わせている方。



こういう方々は、今はまだ体調が優れないので、少し低めに設定しましょう、と言うと形だけ低めに設定する方も多くいます。

看護師さんの言っていることはわかる、自分の体調が悪いのも理解されているからです。


ですが、こういう方は、内心では低い目標を立てることが許せない、不甲斐ないなどの感情をいだかれる方も多く、低い目標を立てることもストレスとなるケースも多いです。


わかっているけど、受け入れられない状態だからです。


かといって、本人の希望する目標を立てた場合にも、実現できないストレス、挫折、実現に向けて無理をしすぎるなどを原因に体調を崩される方も多くいます。



一方、精神科では、現実検討能力が低い方も多くいます。

そういう方は、本当にできると思って、突拍子もない目標を立てたりするのです。

治療意欲につながるため、目標自体は持っていてもらいたいのですが、現実的でない目標のままだと、挫折を味わったり、自己肯定感も下がる、治療意欲も失います。

ですが、このタイプは次の目標も突拍子もないことが多いです。

自己肯定感が高いのではなく、現実的な思考能力が低いためです。



いずれにせよ、

患者さんの思いを否定しないように、ゴール設定はそのままでもいいのではないかと思います。

(もちろん、下げれるなら下げた方がいいです)


ただ、そのゴールまでにできる限り細かく小さな目標を刻んだほうがいいと思います。


その小さな目標は現実的で、最初はそんなに頑張らなくてもクリアできるくらいがいいと思います。

その目標から、少しだけ頑張れば出来る程度の目標を次におきます。

という作業を刻んでいきます。

出来なかったと思う回数をなるべく減らします。

また、自分でむちゃをするより時間をかけていくことができます。


ただ、一気にゴールまで決めようとすると、途方もない長い道のりのような気がしてくるので、とりあえずここ最近くらいの目標設定でもいいと思います。


何日ごとにまた次の目標を考えましょう、といった感じでいいと思います。


目標も、出来れば、患者さんが設定できる方がいいです。

人から言われるより、自分で決めた方が継続しやすいからです。

(現実検討能力が低い方は、小さな目標も突拍子もないことが多いので、じゃあ今日はどうする?今週はそのためにどうする?など声をかけてあげると出やすいかもしれません)


自宅に療養の場が移る場合はご家族に説明して続けて頂いてもいいと思います。