精神科で働いていると必ずお会いする疾患です。


双極性障害と聞くとどういう症状が思い浮かびますか?

気分の浮き沈みが激しい人を思い浮かべるでしょうか。



双極性障害の方には鬱症状を呈するときと躁症状を呈する時期があります。

大体の方は数ヶ月〜年単位で症状が入れ替わることが多いので、一般の方の思う浮き沈みが激しいよりももっと実際は時間をかけて病相が入れ替わるものだと思います。


中には数日でコロコロ変わる方もいますが、多くはない印象です。



また、躁状態といっても、軽躁状態にしかならない方もいて、躁状態によって1型と2型にわけられます。


軽躁状態というと、人によってはテンションが高いだけかな?と思う程度の方もいます。


しっかり躁状態になる方は、怒りやすくなったり、幸福感に包まれていたり、なんでもできる気がしてくる人もいます。

何でもできる気がするので、少しの思いつきで行動に移してしまいます。

また、考えもまとまらず次から次へと新しい事が思いつきます。


その結果、

数千万単位の浪費をしてしまったり

そこまではいかなくても、毎日何かしらの通信販売からの荷物が届き続ける

起業をする、自分にはもっといい職場があるはずだと仕事を辞めてしまう人もいます。

そうなると、経済的にも破綻します。


怒りっぽくなるため、友人関係や家族関係に亀裂が入る方もいます。

全能感があるため、偉そうに色んな人に色々言い続けたりもするのです。


また、気分がハイなので、眠らなくても行動できると思い、眠らずに行動し続ける人もいます。

(この状態でも身体だけは疲労していきますが、気持ちがハイで気付かないため、クマや顔色が酷い状態で動き続ける方も多いです)


その状態でも、もちろん周囲は振り回され、疲弊していくのですが、本人は前述の症状のお陰で、大変なことをしているとは思わず、元気にやっていると思っていることが多いのです。


問題は、双極性障害では遅かれ早かれ必ず、鬱状態の時期がやってくるということです。


躁状態のときにした数々の行いを、鬱状態に陥ったときに直面するということは、鬱状態をさらに悪化させる要因になるわけです。



入院病棟では、とても酷い躁状態か、鬱状態の方にしかお会いしないことがほとんどです。


ちょっとした躁状態では自分が病気だと思わないため、病院に来ません。

とても酷い躁状態の場合は、周囲に無理やり連れてこられることがほとんどですが、そのときにはすでに前述の行動をした後であることが多いですが、

自分に病識がないため、病院に連れてこられたことに怒り、反発し、暴れる方も多く、

いわゆる強制入院となる場合が多いです。


本人は同意しませんが、明らかに本人が周囲もしくは結果的に自分に危害を加えているためです。


強制入院と聞くとイメージが悪いですが本人を保護する目的が強く、

様々な考えや議論があることも知っていますが、私は必要な入院形態だと感じています。


本当はそうなる前に病院に来ていただくことが理想ですが、なかなか難しいケースも多いのが現状です。

病歴が長くなればなるほど、家族も振り回され過ぎてきており、関わりたくないとおっしゃる家庭もあります。

そうなると悪循環にしかならないのです。